別のページで、ラグタイムギターは社会人ギタリストのオアシスと書いたので、練習法をご紹介します。きっといろいろな練習法があると思いますが、ここにご紹介するのはロックを弾いているギタリストが練習しやすい方法と思います。
ラグタイムギターの特徴
ラグタイムギター奏法の大きな特徴は3つです。
1.2拍子である
低音弦で常にズンチャ、ズンチャのリズムを刻みます。カントリー(フォーク)ギター奏法に「カーターファミリー奏法」というのがありますがフィーリングとして近いと思います。
2.カントリー的な簡単なコード進行
ジャズのような複雑なテンションコードや展開はありません。G7とかAmとかフォークソングに出てくるようなコードばかりです。このあたりはカントリーやブルースがベースになっているからでしょう。ただ、曲によってはメロディや瞬間的なコードにテンションが効果的に使われていたりします。
3.シンコペーションが強調されたメロディ
2拍子のリズムに乗ってシンコペーションが強調されたメロディが乗ります。この独特のリズム感こそラグタイムの難しさと楽しさでもあります。メロディの譜割りが、ベース音と同じになったり裏拍になったりするところが難しくもあり、楽しいところで、そこを上手く弾けるようになると俄然ラグタイムのムードが出てきて楽しくなります。それだけに頭で考えなくても、カラダで自然に低音弦が弾けるようになるのがポイントです。
ラグタイムギターのピッキングスタイル。
ラグタイムギターのピッキングスタイルには大きく分けて3種類あります。
・フィンガーピッキングによる演奏
・サムピックとフィンガリングによる演奏
・フラットピックとフィンガリングによる演奏
ロックの人はフラットピックとフィンガリングによる演奏が多いような気がします。フラットピックはコード弾きを混ぜやすいという利点があります。
カントリー系の人はサムピックとフィンガリング、ブルース系はフィンガーピッキングという感じでしょうか。クラシックの人はナイロン弦だから、クラシックスタイルのフィンガーピッキングではないでしょうか。
それぞれに長所短所やサウンドに特徴があります。ただやはり、ラグタイム曲以外の曲を演奏しているピッキングスタイルでやるのがやりやすいと言うことでしょう。私はスティーブハウを真似てフラットピックを使っています。ジェフベックはフィンガースタイルで弾いていました。
ラグタイムギターの練習法。
練習法はいろいろあるでしょうが、大きく分けて3ステップではないでしょうか。
特に1は、ラグタイムギターの土台を形成することなので「体でおぼえる」までやることが必要です。考えなくても自然に指が動くまでやらないとメロディが乗っていきません。
また、これらは前提としてギターに関して中級以上の技術がないと難しいと思います。初心者ではまず指が動かないので練習にもならないのではないかと思います。初心者の方はまずはギターの基本的な技術を身につける必要があると思います。
古いフォークソングなどを弾いていた方はスリーフィンガーやカーターファミリー、アルペジオなどを経験されていると思うので感覚を掴むのが比較的早いかも知れません。感覚は似ています。
<ドービーブラザーズの「木こりのラリー」を題材に説明します。>
ここに上げるサンプル音源では、フラットピックと指で弾いています。練習法をご紹介するためのものなので、「木こりのラリー」自体の詳しい内容は説明していません。なかなか文章で説明するのは難しいのでいずれ動画にしてみようと思っています。参考のためにコードフォームを下段に載せています。
1.弦を跨ぐ「ズンチャ、ズンチャ」を体でおぼえる
2拍子のノリ自体はすぐ分かると思いますのでいきなり本題に入ります。ラグタイムのベース音は基本的に弦を跨ぐので、例えばCコードなら(5弦ド、6弦ソ)を交互に「ズン(チャ)、ズン(チャ)」できるようします。さらにそれをミュートしてできるようにします。
ベース音はルートと5度が基本です。時には3度も弾いたりしますが。またベース音がランすることもありますので、リズムを崩さずに体が勝手に弾いている状態になることが必要です。
メロディを載せる感覚を養うためにフラットピック以外の指で、2拍目(チャ)にコードを弾きます。文字通り「ズンチャ、ズンチャ」になります。
3.メロディ部分だけを弾く
メロディを親指以外の指で弾く練習をします。この段階では完璧でなくてもよいです。ベース音と組み合わせるときに運指などが変わってくるからです。概ねどこのポジションを弾かないといけないかを把握します。
4.合わせて弾く
コード進行に合わせた「ズンチャ、ズンチャ」にメロディを接合していきます。ここでどういう指使いやポジションで弾けば良いかが決まってきます。決まったらあとはひたすら練習です。
とりあえず完成形
実際には、ベース音は時にはリズムを崩してメロディと複雑に絡んできます。