初心者は、どのグレードのギターを買えば良いかの考察。

弾き方
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しばしば言われるのが「初心者だからと言って安いギターで始めてしまうとクォリティが低いから弾きにくいし嫌になってやめてしまう」あるいは「上達しない」という論調です。これは正しくもありそうでもないとも言えます。

ギターのグレード感とは

そもそも、「安いギター」「高いギター」とはいくらくらいの規準なのでしょうか。これは、その人のライフステージによっても違ってくると思います。中高生なら2万円でも決して安くはないし、10万円などになるとなかなか射程距離に入ってこないと思います。
しかし大学生なら2万円くらいはバイトを2日すれば得られる金額だし、10万20万も視野に入ってきます。社会人ならさらに金額目安は上がってきます。ず〜っと上に行って、定年退職された方になると退職金や貯金があったりするのでいきなりハイクラスも買えなくありません。

しかし、一方で、ギターを始めるマインドというか想いは逆ではないでしょうか。中高生の頃は憧れや熱量が高く、時間もあるしなんせ新しいことへのチャレンジ精神や欲望はとてつもなく広がります。しかし年齢やライフステージが上がるほど、経済環境を反比例するようにギターへの熱量は下がってきます。
何が言いたいかと言えば、一般論としての正解はないということです。考え方があるとすれば、ひとりの個人に特定すれば妥当な答えが出てきそうです。

個人単位で考えると

例えば2人の定年退職者を想定してみます。

ケース1

1人は洋楽が好きでずっとリスナーとして楽しんでいたけど、ずっとエリッククラプトンが好きでアンプラグドでやっていたようなギターを弾いてみたいと思ってギターを始めるとします。
・この場合は、ちょっと奮発して初心者だけど、憧れのマーチンのエリッククラプトンモデルを買うのも良いと思います。あのアンプラグドで弾いていたのと同じギターを持つ喜び、それでギターを弾く喜びが大きいからです。もちろん練習には充分すぎるクォリティがあります。
・もし上手く弾けなくてやめちゃっても、その喜びの経験は人生において値打ちがあると思います。このギターなら売ろうと思ったらそこそこの値段で売れますしね。

ケース2

もうひとりの定年退職者は、洋楽と言うより日本の歌が好きでカラオケで歌ったりしていました。たまたま同窓会で話が盛り上がってバンドをやろうかという話になり、ギターをすることになりました。
とくに憧れのギタリストはいませんが、コードを弾いて歌うことができれば楽しいなと思います。
・この方なら、3〜10万円くらいのギターで始めるのが良いのではないでしょうか。始めてみて面白くなったら続ければ良いし、3万円のギターでも弾き語りの練習には十分だし、5万円以上のギターを買っておけば長く続けられます。
・飽きてやめてしまってもギターを子供や親戚の子にあげても惜しくはありません。

ケース3

一方、若い人ならとりあえず2万以上の初心者モデルで始めて見るのは悪くないと思いますし、少し予算があるなら10万円以下の中で選べば長く使えると思います。2万円くらいならお誕生日のプレゼントとしてもらうこともできるでしょう。
・大昔と違って今の初心者向けとして売られているギターは概ね品質が良いです。よく言われた「安物ギターだとつまらなくなってやめてしまう」ほど品質は悪くないと思います。
・「弾きたい」と思ったら早く始める方がよいです。中高生で始めて大学、就職とステージが進むにつれ経済背景もついてきて、ハイグレードなギターが買えるようになります。また、プロを目指すぞー!という熱量なら、ギターは何だって良いんです。すぐに上達してギターも買い換えて相応にグレードが上がっていきます。

初心者の特性について

とにかくギターを始める時の想いの熱量やその人の資質や環境など複合的に影響すると思います。もちろん予算が許せばハイグレードなギターを買うに越したことはありません。打算的に考えると値打ちのあるギターなら途中でやめてもそこそこの値段で売れるのでそういう考え方もありです。ただそれにはそもそもギターに関する知識が必要です。初心者にそれがある人は少ないでしょう。

また、ハイグレードなギターを買ったとして、それが心地よいと感じるがどうかというのもその人の感性というか資質によるのではないかと思います。また、ハイグレードなギターは音質は良くても必ずしも初心者に弾きやすいかどうかは分かりません。ハイグレードなギターはある面個性的に使ってあります。これらのことを総合的に勘案すると「多くの初心者」においては、まず初心者向けのギターを買って始めるのが妥当なのではないかと思います。

プロの見立て

エレキギターについては、マーティーフリードマンは10万円以下のギターで十分だと言っています。あるプロの人は5万円のジャパンフェンダーを使っていたり、プロでもヤマハのパシフィカという廉価ギターを使っていたりする人がいます。先にも書いたとおり、現代のエレキギターは昔とくらべて圧倒的に高品質になっています。特にエレキギターは工業製品的な要素が大きいので、機械やシステムの進化とともに製品のクオリティは高くなっていきます。

一方アコースティックギターの場合は職人の手作業や木の材質によるところが大きいので、職人のグレードとかける手間によって価格が違ってきます。もちろん木の材質も違ってきますのでエレキギターとは少し違うと思います。エレアコの場合なら電気的なパーツのグレードも違ってくるでしょう。そう考えると、音のクォリティにおいてはグレードによって差が出てくる可能性が高いと思います。しかし「弾きやすさ」に関しては個人的な経験からも価格ほどの差はないのではないかという気がします。

親しいプロの人は「弦楽器は所詮、弾き手のタッチ次第」と言います。初心者ギターで始めても充分上達するし、上達するにつれて音も良くなって行くはずです。世界のレジェンドギタリストの話を聞いていても、多くの人が最初は安いギターを買って始めています。中には「ギターとは言えない代物」で始めた人さえいます。ギターのグレード云々より「とにかくギターを手にしたい」という想いの強さがあります。むしろ最初から良いギターで始めたという話を聞いたことがありません。

いろいろな話を総合的に考えると、初心者のボリュームゾーンへの一般論としては「まずは安いギターで始めてみる」が妥当な話ではないでしょうか。

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