ロックの中のブルース。

カルチャー
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「ロックギターやるならブルースのすすめ」でロックにおけるブルースのポジションに触れましたが、過去も今もロックとブルースは切っても切れない関係です。ロックがブルースから進化したところがあるので、ロックの中にはブルースがたくさんあります。いわゆる3キングに代表される黒人ブルースとはひと味違う、餃子で言えばニンニク少なめ(笑)な、あるいは新世代の新感覚ブルースで、食べやすいブルースと言えるかも知れません。そんなロックに息づくブルースを独断と偏見でご紹介。

レジェンド達のロックブルース

Johon Maiall&The Blues Breakers With Eric Clapton

再び紹介してしまいますが、個人的にはこれが筆頭ですね。特に2曲目のHide Away、エリッククラプトンが弾くこのブルースの有名インスト。オリジナルはフレディキングですが、それをもっとドライブさせてカッコ良くしたのがクラプトン版です。このレスポールスタンダードをマーシャルで歪ました音こそが、ロックギターのディストーションサウンドの始まりだと言われています。ジェフベックは、レスポールを使い始めた理由として「ブレイカーズのエリックを見て」と言っていました。
この曲は、途中でブレイクがあったり、リフのセクションがあったりリズムが変わったりして変化があって楽しい曲です。このクラプトンの演奏は、音を真似ることはそう難しくないのですが、この独特のタメやチョーキングのニュアンス、ビブラートのドライブ感など、かっこいいポイントを真似るのは難しい。全体のちょっとひっかかるような引きずるようなブルースのよれかたというか、それが良いわけで、音符通りに正しく弾いてしまうと、味がなくなってしまいます。その辺がブルースの面白いところでもあります。ちょっと臭い味を楽しむ、まさに餃子と一緒ですね(笑)ジョンメイオールという人は、この当時から今もずっとブルースをやっていて、60年代はジョンメーイオール学校などといわれてクラプトン、ピーターグリーン、ミックテイラーなど、後の有名ギタリストが駆け出しの頃に在籍して卒業していきました。ジョンメーイオールは、才能を見抜く目があったのでしょうね。このアルバムは、All Your Love、クリームの時にもやっていたSteppin’ Outなども有名です。

A Hard Road/Johon Maiall&The Blues Breakers

同じくブルースブレイカーズのピーターグリーンがいた頃のアルバム。4曲目のThe Stumbleは、これもフレディキングの名作。これもコード進行がイレギュラーです。6度和音で弾くテーマフレーズのところが意外と難しい。ジェフベックやゲイリームーアもやっていました。クラプトンよりさらに引きずる感じの独特のドライブ感があります。決して流麗には弾いていないけど、味、味、・・・(笑)渋い!でも、ピーターグリーンはフリートウッドマックでも活躍しましたが、後に病気をしたりして一時活動をやめていて復活してからは、ギターが別人のようになってしまいました。2020年に亡くなられました。サンタナで有名な「ブラックマジックウーマン」の作者でもあります。ミュージシャンの中には、ファンも多くゲイリームーアは、志と仰いでおり、ピーターが使っていたレスポールを譲り受けて使っていました。そのゲイリームーアもなくなってしまいましたが。

The Allman Brothers at Fillmore East/The Allman Brothers Band

オールマンブラザーズもブルースをよく演奏していました。これはロックの歴史の中でも伝説的に語られる名盤。この中にオールマンの魅力が詰まっています。のっけからブルース曲が連続します。3曲目のStomy Monday Bluesは、T-Born walkerの超有名曲。コード進行が少し変わっています。セッションでも良く演奏させる曲ですし、スローブルースのコードワークのお手本にも引用されることが多いです。9thコードの響きとそこでのコードワークがいかにもな感じで入っていきやすいですね。Am7、Bm7と上がって下がってするところもブルーノートスケールで弾き通せるのだという、発見と同時に後で高度が動いていくかっこよさ、それを乗り切れる快感もあります(笑)この演奏では、ギターと共にグレッグオールマンのオルガンもカッコイイです。この頃のバンドの演奏は、ジャム的要素が強くソロが延々続くので収録曲は少ないですが時間は長いです。LP時代は2枚組みで、片面1曲みたいな面もありました(笑)この手のバンドはライブごとにソロが全然違います。いまは、オフィシャルのアルバムだけでなくいろいろなライブが出ているので、いろいろ聴いてみると面白いと思います。

Truth/Jeff Beck

ロッドスチュアートがいた第1期ジェフベックグループの1枚目「Truth」は、まさにブルースロックで、カバー曲や既存曲をちょっと変えたような曲が多く入っています。Let Me Love You、You Shook Me、Rock My Plimsoul、Blues Deluxe、I Ain’t Superstitiousはブルース曲です。ジェフベックの場合は、ブルースと言ってもオーソドックスな弾き方はしません。ブルースという型でもそういう変態ギターソロができるのだという見本のようなものです。
7曲目のRock My Prim SoulはB.B.Kingの有名曲「Rock My Baby」をちょっと変えた曲です。この曲が面白いのは、基本的にシャッフル曲なのですが、ドラムとベースが2拍3連を刻んでいるところです。それによって、ちょっと独特のノリになっています。ここでのジェフベックのソロは、ブルース的なタメを保ちながら、一般的なブルースとはかなり違ったアプローチをしています。いきなり7thの音から入っていくというのはジェフベックにはよくあるパターンですが、普通はあまりありません。そして音があっち飛びこっち飛びするのもジェフベックらしい。この頃すでにかなり型から離れたようなアプローチをしています。しかし、ベックの凄いのは、かなり離れながら、ほどよく王道に戻ってくるところです。そのあたりのバランスのセンスというか、その辺か、ジェフベックのカッコイイ所のひとつでもあります。ブルースの曲でこういう弾き方をする人は、なかなかいません。この曲のBBCバージョンというのがあるのですが、もっと初期の頃で、テンポも早くアプローチはさらにロカビリー的で、もやはブルースの弾き方ではないのですが、全体を通してカッコイイブルースにしてしまっているのがレジェンドたるところです。Blues Deluxeでは、あっているのか外れているのか分からないけどあってるというような、一瞬調子っぱずれのようなソロ、I Ain’t Superstitiousでは、ワウワウを使ってしゃべっているかのような不思議なギターを弾いています。

Wheels On Fire/Cream

超有名なCross Roadが収められているアルバム。他にもSitting On Top Of The World、Politician、Born Under A Bad Sign、Spoonfulなどでブルースフォーマットが踏襲されています。Politicianなどは、ブルース進行に不思議なリフをあてはめたカッコ良い曲です。
Cross Roadは、クラプトンと言えばこの曲が出てくるくらいブルースのセッションでもよく演奏される曲です。しかし、この曲、ベタな8ビートで3連ではないんですよね。クラプトンは「クリームにはロックンロールギタリストとして参加した」と言っていました。オリジナルはロバートジョンソンですが、オリジナルとは別の曲と言えるほど変えてしまっています。この曲でのクラプトンのソロは、もう伝説になっているほど有名ですね。この頃のクラップトンは、フィンガービブラートのやり方が、現在のクラプトンと違っていて、B.B.Kingがやるように手首をねじるようにして掛けていて非常にドライブしていてカッコイイです。ハイポジションでのビブラートなどがなかなか苦労するところですね。

Captured Live/Johnny Winter

テキサスからはスティヴィーレインボーンと行きたいところですが、あえてジョニーウインター(笑)ブルースにしては結構ハードにガンガン行く人で、ギターもナチュラルトーンではなく、ディストーションとフェイズの掛かったぐじゅぐじゅした音なのですが、ジョニーウインターのかっこよさは理由が分かりません(笑)あの歌とハードなギターで引き倒すところでしょうか。フレーズも、どの曲も似たようなものだし、どの曲も同じに聞こえるっちゃぁそうなのですが、でも聴きたくなる独特の味があります。とにかくカッコイイ。ぐだぐだ言うな!行くぞー!!ブルースだ、おりゃ〜〜〜!そんな強引さでしょうか。最後のSweet Papa Johnこの演奏は、散々アップテンポのハードな曲をやった後に、弾き始めるのですが、イントロから「Come Sweet Papa johon!」の第一声でやられます(笑)

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Singin’ The Blues/Eric Crapton

ドラッグから復活した頃のクラプトン。レイドバックサウンドの頃にも渋いブルースがあります。リズムはファンキーで、コード進行も基本型ではありませんが、ブルースフィーリングあふれるご機嫌なファンクナンバーみたいな曲です。最後のソロは、ギタリストクラプトン健在な感じのかっこいいソロ。ソウルフルな女性コーラスもカッコイイ。

Bleeding Heart/The Jimi Hendrix Experience

ジミヘンのブルースは有名です。ジミヘンは黒人ですが、黒人ルーツのブルースと言うよりは、白人的解釈のロック感覚のブルースという様な気がします。もう一人ギターという人格が居て2人でやっているかのようにギターに表情があるというか、何かを言いたげな、言っているような存在感があります。歌の後半からギターも高揚していくのがスリリングです。こんな演奏をする人はいないでしょう。当時20代なかばの若者が凄い演奏をするもんです。

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新しい世代のロックブルース

Let Me Love You Baby/Joe Bonamassa

ジョーボナマッサは、若い世代ながらロック黎明期の渋いブルースを演奏し、ブルースフィーリングあふれるギターを弾きますね。カントリーの天才ダニーガットンの下で学んだそうなので、カントリーギターも上手いのでしょうけどね。この演奏もそうですが、第1期ジェフベックグループのカバーとして演奏しており、意識していると思いますが、当時のジェフベックの音にそっくりです。同世代でジョンメイヤーもブルースが上手いですね。

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Eric Gales – Somebody/Smokestack Lightining

昭和生まれには「エリックゲイル」というStuffのギタリストが有名ですが別人です。エリックゲイルズは、1974年生まれ。めちゃめちゃ上手くてカッコイイです。左利きではないそうですが、左利き用のギターを演奏します。ジミヘンのトリビュートなどもやっているそうですが、若い世代のギタリストらしく、ブルースのこなし方にもフレーズなどに現代風のフレイバーが香ります。ラップなどもやっているそうで、若い世代ならではですね。日本では、そんなに有名ではないようですが、アメリカでは大人気、ブルースロックオブザイヤーなども受賞しているようです。

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LARKIN POE / Trouble In Mind

この姉妹も日本ではあまり知られていないのかも。めちゃめちゃカッコイイです。歌もギターもブルースフィーリング抜群。オリジナルやカバーなどをたくさんやっています。姉妹は元々ブルーグラスのバンドからスタートしていて、姉妹共に楽器の演奏もかなりの腕です。お姉さんは、ギターを始めマンドリン、バンジョー、ピアノなどいろんな楽器ができるそうです。妹の方がラップスティールをやっているのもそういうルーツがあるのがアメリカらしいですね。アメリカには、カントリーミュジックがあるので、スティールギターがとても普通に存在します。女性の奏者も山ほどいます。

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