工作好きのジャンク・ビルドギター。〜ジャンク部品を使ったオリジナルギターの制作〜

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「ジャンク・ビルド」と言う言葉はないかも知れません。私の造語です。ジャンク部品を集めてエレキギターを作るという楽しみです。こんなことは自分だけかと思っていたら、同じ嗜好を持つ人はたくさんいるようで、フェイスブックにコミュがあったりします。

ジャンク部品でギターを作る楽しさ

どんなことをするかといえば、ヤフオクなどで出品されているジャンク的なギターを安値で落札しその部品を使って1本のエレキギターを作るということです。この楽しみの半分は「工作の楽しみ」です。ですので工作が嫌いな方には向きません。逆にギター好きで工作好きには泥沼にはまってしまう麻薬的な楽しさがあります(笑)

楽しさ

素の木からギターを作るのは大変だし、高級な部品からオリジナルギターを作るのは費用もかかるしリスクも伴います。ジャンク部品というのは安値で出されているので材料費が安いわけで、失敗しても苦にならないのです。そのためいろいろな実験というか「試しに作ってみる」ということができ、手軽に(手軽かどうかは個人の価値観)にいろいろなギターが手に入るということです。そして、自分で作るのでギターの隅々までを自分で把握できるわけです。
逆にその分知識や技術も必要です。手間も暇もかかる話なので、繰り返しますが「工作」自体を楽しめる人以外には向きません。むしろ結果より過程の「工作」こそが楽しいと言っても過言ではありません。

ジャンク部品

ヤフオクなどでは、ジャンクギターがたくさん出品されています。ボディにきずがあるもの、部品がかけているもの、どこかが損傷しているもの、あるいは工房や楽器店がジャンク部品を断捨離するために出していることなどもあります。そういうものは概ね数千円から数百円です。
以前ストラトなどの難ありボディが4つで800円というのもありました。難ありと言っても塗装が剥がれているとか傷ついているとかそういうレベルなので工作をする身からするとなんでもないのです。

もちろん木の質などは分かりません。そこは賭けです。そういうバクチ的なことも楽しいわけです。また後述しますが木の質がどれだけ音質に影響するかというのはケースバイケースだと経験上思います。個人的意見からすると大事なのは「部品同士の相性」ではないかと思っています。そういう見えない部分の期待感も楽しみです。

物理的な合理性という面でネックがネジ止めになっているフェンダータイプのギターがつくりやすいです。部品も多いですしね。構造が簡単なテレキャスターなどは最もつくりやすいと言えます。しかし、セットのネックのギターなどを加工されている強者もいますので制作者次第です。

必要な知識と技術

こういう話に興味を持って読まれている方なら、すでにいろいろなノウハウをもっておられるのではないかと思いますが、ジャンクビルドをしようとすると当然ギターの特性や構造やメンテナンスについての知識、ハンダ付けやギターの電気回路のノウハウ、木工や金属加工のある程度の技術(模型工作と似ています)が必要です。
配線などの知識や情報の部分はネットを探せば手に入りますが、木工や金属、プラスチックなどの加工に関しては一朝一夕では得ることができません。それなりの経験や積み重ねによるコツや勘みたいなものが必要です。塗装についても同様です。

完成したギターの品質

これはもうパーツもさることながら制作者の技術とこだわりによります。
ひとつ言えるのは、安いジャンク部品(言って見ればゴミですよね 笑)で作ったからと言って決して質が悪いものしかできないということはありません。
驚くほど良い音になることもあります。逆にイマイチのこともあります(その際はバラして別のものにします)。先に「部品の相性」と言うことを書きましたが、これはとても重要な事だと思っています。

個人的な経験から言えば、ジャンクビルドで作ったテレキャスターをライブで使っていたら、客席で聞いておられたテレキャスターファンだという方が来られて「どこのテレですか?とてもいい音でした」と言われたことがあります。似たようなことが数回あるので、そのくらい良い音のギターにも仕上がるということです。

部品の相性について

ギターの音はネック8割ボディ2割と言われます(俗説)が、確かにネックの材質や品質で音のしまりが違ってくる気はします。逆にボディについては(もちろん品質の良い木であることに越したことはありませんが)その影響は2割なので大きくないと言うことですね。そんな気がします。木の質よりも密度や重さなどの方が音に影響するように感じます。

いずれにしても2割です。それより音に影響するのが、弦に関係するパーツです。ペグ、ブリッジ、ナット。これは音に大きく影響するようです。つまりボディにこだわるよりネックや弦関係のパーツを考慮した方が良い音になるということですね(あくまで個人的感想)。特にペグはビンテージタイプのプレスペグなのか、ロトマチックかは大きく影響します。テレキャスターで言えば3コマブリッジか6コマかとか。あるいはナットの材質も影響が大きい気がします。

これらの考慮したパーツがそろったとしても、その組み合わせによって音がちがってきます。この辺りのことは、これといった法則はないはずで「やってみないと分からない」ところがあります。その辺も面白いところですが、試行錯誤やっているとなんとなく音の予想ができるようにはなりますので、逆にパーツの組み合わせの選択基準が生まれてきます。そうやって自分の好みのギターができるようになります。とは言っても所詮ジャンクの寄せ集めですので未知数の部分は多いです。

また私の場合は、すべてジャンクではなく、どこで買っても余り変わらないものは新品を使っています。例えばネジ類、ノブなどのプラ製品などは新品を買っても変わりません。
Amazonで恐ろしく安い海外製品を売っていますがあれも運です(笑)ブランド部品とまったく遜色ない製品もありますが問題のあるものもあります。しかし傾向としては、以前より酷い製品は少なくなったのではないでしょうか。

逆に日本国内の人気のある工房ブランドの廉価版ギターを落札したことがありますが、あまりに品質が悪くて使わなかったこともあります。

かと思えば、知名度がないために人気ないブランドのギターがとても安く出されていることがあります。そういうギターは良い木を使っていたりするので、パーツを替えて調整するだけで凄く良いギターになったりします。そういう時はほんと小躍りします。

マイルール

ということで、ジャンクビルドはある種の遊びというかゲームみたいな楽しみがあると思います。失敗しても苦にならないというのが面白い所ではないでしょうか。何らかのテーマやルールで行うと良いのではないかと思います。私の場合はマイルールとして「材料費1万円以内」としています。1万円以内の予算でどんなギターが作れるか。

作業環境

この分野の強者の方はボール盤やトリマーなど本格的な工作機械を備えて、もうギター工房と言っても良いような環境をお持ちの方もおられますがそこまでしなくても作業はできます。
しかし、ヤスリや万力、糸鋸など、必要に応じて工具を用意しないと、結果的にうまくいかかったり、それがあるだけでとても効率良く作業ができたりしますので留意しておく必要があります。
ありがたいことにこういった工具もAmazonでとても安価で売られていたりします。耐久性は分かりませんが、専門家でもないのでさほどの耐久性も不要かと思います。そういう工具を上手くチョイスして合理的に作業することが必要です。こういうことも工作好きの方ならすでにご存じだと思うので釈迦に説法だと思いますが。

ジャンクギターへの思い

マインドの上でもうひとつあるのは、出品されているジャンクギターへの想いです。出品されているギターは、言って見ればもう燃えないゴミに近い扱いで出されています。ギターを好きな身としては切ない気がします。特に低価格ギターは、高級ギターとは全然扱いが違います。同じギターであり、ちゃんと修理調整すれば高級ギターに遜色ない音がするのにジャンク扱いされている切なさ。それを救いたい(笑)という想いです。燃えないゴミは、工作好きにとっては「萌えるゴミ」なのです(笑)これは同じ嗜好の方々も同じのようで「救済」と言われたりしています。

実際、良いギターになるものですしね。この切ない想いはジャンクを出品されている元持ち主の方も同じなのでは無いでしょうか。捨てるのは忍びない、誰か再生してくださいという想いがあるように思います。イマドキ風に言えばリユースですね。ジャンクギターの制作は、ゼロから作るのとはまた別の楽しさです。工作好きの人にはお奨めです。

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