ニールヤング「Old Man」・・・曲調から読み直す歌詞のニュアンス。

カルチャー
この記事は約7分で読めます。

Old Manの”life”は「人生」ではなく「暮らし」?

ニールヤングのアルバム「Harvest」では、Heart Of Goldが有名ですが、Old Manという曲も好きな曲です。

Old man look at my life, I’m a lot like you were.
Old man look at my life, I’m a lot like you were.  

Old man look at my life, Twenty four and there’s so much more
Live alone in a paradise That makes me think of two.
Love lost, such a cost, Give me things that don’t get lost.
Like a coin that won’t get tossed Rolling home to you.

Old man take a look at my life I’m a lot like you
I need someone to love me the whole day through
Ah, one look in my eyes and you can tell that’s true.

Lullabies, look in your eyes, Run around the same old town.
Doesn’t mean that much to me To mean that much to you.
I’ve been first and last Look at how the time goes past.
But I’m all alone at last. Rolling home to you.

Old man take a look at my life I’m a lot like you
I need someone to love me the whole day through
Ah, one look in my eyes and you can tell that’s true.

歌の背景

とても素朴な、しかしニールヤング独特のサウンドで、リラックスして歌っているような曲。この歌は、当時ニールヤングが持っていた北カリフォルニアの牧場を管理している老人との会話を謳った内容でOld Manはその老人だとされています。

歌の背景は、その老人が若いニールヤングに「若くしてこんな牧場を手に入れられるほど稼いでいるのか」と驚いたことに対して「運が良かっただけだ」と返した時の思いを歌ったものらしい。

この歌詞の和訳がネットにいくつか上がっているのですが、曲調と比べてどうも重くて違和感があります。歌詞の和訳に正解はないのだとは思いますが、曲調からすると少し違うニュアンスなのじゃないかなと思います。

この歌は、ざくっと言えば、驚く老人に対して、「俺の暮らしを見て観ろよ、あなたが若い頃と大して違いはない。(そんなことはないだろう。何でも手に入るんじゃないか?という老人に対して)この先に不安もあるし、誰かと一緒に居たい願望もある。嘘じゃないよ、ほんとだよ〜、俺の目を見てみろよ(笑)」と言ったようなにこやかで軽いやり取りではないかと思います。曲調がそういう味わいです。しかし、ネットにある和訳はどこか哲学的な重さのあるものばかりです。

違和感の正体

“Old man look at my life,”のlifeを人生と訳してありますが、これは素朴に「生活」あるいは「暮らし」ではないかと思います。俺の日々の暮らしを見て観ろよ。あなたの若い頃と同じだよ。といった感じではないでしょうか。このlifeをどう訳すかによって全体が大きく違って来ます。

そもそも24歳の若者が老人に対して「俺の人生を見ろよ」というような思いは抱かないのではないでしょうか。若いニールヤングが老人に向かって人生哲学を語るのは不自然だと思います。ここで全体の意味合いががらっと変わってきます。

”Old man take a look at my life I’m a lot like you”というフレーズが何度も出てきますが、「俺の暮らしぶりを見てみなよ、若かった頃のあなたと案外似ているだろう(=あなたの若い頃と変わらないよ)」ということを強調しているのでしょう。あなたが思っているほど俺はあなたと変わらないよと。

歌い方もバースでは、つぶやくように、自分の不安や置かれた状況を歌い、サビになると「あなたと変わらない。ずっと愛してくれる人を求めている。嘘じゃないよ本当だよ、俺の目を見なよ(笑)」と力を入れて歌います。これは、老人が「本当かよ?」と返した(歌詞にはないですが)ことへの分かってくれよ(俺だって不安だし寂しいんだ)という思いをのせているのだと思います。しかし、それは真剣で重いものではなく、親密で素朴で笑いながら話す軽いものだと思います。文字だけを見ていると哲学的にもとれますが、曲調を考えるとそんな重い内容ではないと思います。

私なりのイメージ訳

<イントロ>
Old man look at my life,
俺の暮らしぶりをみてみなよ。
I’m a lot like you were.
結構あなたの若い頃と変わらないよ。
Old man look at my life,
俺の暮らしぶりをみてみなよ。
I’m a lot like you were.  
結構あなたの若い頃と変わらないよ。

<1番>
Old man look at my life,
俺の暮らしぶりをみてみなよ。
Twenty four and there’s so much more
24歳、まだ先は長いよ
Live alone in a paradise
楽園でひとりで暮らしていると
That makes me think of two.
ふたりが良いなあと考えてしまう。
Love lost, such a cost,
なくした愛の代償は大きかった
Give me things that don’t get lost.
だからなくならないものが欲しいんだ
Like a coin that won’t get tossed
一発当てるようなものじゃなくて
Rolling home to you.
ちゃんと手元に残るものが欲しい

<サビ>
Old man take a look at my life
俺の暮らしぶりをみてみなよ。
I’m a lot like you
結構あなたの若い頃と変わらないよ。
I need someone to love me
誰かにそばにいて欲しいんだ、
the whole day through
1日中ずっとね。
Ah, one look in my eyes
ほら、俺の目を見てよ。
and you can tell that’s true.
嘘じゃないってば

<2番>
Lullabies, look in your eyes,
子守歌とか目を見つめるとか
Run around the same old town.
街歩きをするとか
Doesn’t mean that much to me
俺にとってはさほどの意味を持たない。
To mean that much to you.
あなたにとって意味があるとしてもね。
I’ve been first and last
先頭にいたことも取り残されたこともある
Look at how the time goes past.
そうやって時間は過ぎていく
But I’m all alone at last.
そして俺はひとりになってしまった
Rolling home to you.
だから帰ってきたんだよ。

<サビ>

【イメージ】
老人:「若いのに農場持って良い暮らししているな」
ニールヤング:「いやいや、そんなに変わらないって。俺だって結局、誰かに愛されたいだけなんだよ。見りゃ分かるだろ?嘘じゃないってば、俺の目を見てみなよ(笑)」

若くして農場を手に入れても、欲しいのは成功じゃない。失くさないもの。帰る場所。愛。

成功した若者とその若者に雇われる老人ではなく、かつては同じ若者だった老人と肩を並べて対話する共感の歌。
最後にイントロと同じギターがきて終わりますが、牧場の風が吹いているような静けさと清々しさを感じます。

イントロの弾き方

独特のイントロは、F△7で4弦開放と5Fをハンマリングオンしながら1〜4弦を弾きます。2弦のFと1弦解放のMajor7thの半音ずれた音が同時に鳴るので独特の響きになります。ニールヤングは右手をギターに打ち付けるような独特の弾き方をします。

タイトルとURLをコピーしました