練習の考察。

練習方法
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アマチュアであろうとプロであろうと練習はつきものです。中には練習はしないと言うプロもいますが、プロは日々演奏しているので、それが練習代わりにもなっているということかも知れません。

楽器というのはスポーツと同じで、練習をしていないと必ず技量が低下してきます。しかし、経験を重ねるごとに音楽なら音楽性の幅が出てきて技術の衰えをカバーし、また違う魅力が生まれてきたりします。しかし、モーツァルトのような天才でない限り始めは誰もが練習をしないと技術が身につきません。「上手くなりたい」と言いながら「練習は嫌」(笑)そんな方もいるようですが、土台無理な話です(笑)

概ね有名なプロの人は、練習量が半端ではありません。なかには常軌を逸脱したような人もいます。友人の幼なじみに世界的なジャズのピアノプレイヤーがいますが、その方の若いときの話を聞いたら、にわかに信じられないような、狂気的とも言える練習量です。逆に言えばそれくらいやる人が、世に出てくるのでしょうし、それだけの情熱や集中力も才能なのではないかと思います。

Charさんが雑誌のインタビューで語っていましたが、ジェフベックでさえ一日中ギターを弾いていたそうです。国内でも某有名ギタリストの息子さんが「おやじが家にいるときにギターを抱えていない姿を見たことがない」と言っていました。
そんな「練習」というものを体系的に考察してみたいと思います。それぞれの練習の区別と目的を意識しながら練習をするのも大切なのではないでしょうか。

練習には2種類ある

あまり意識されないかも知れませんが、練習には2種類あります。楽器の練習と楽曲の練習です。さらに楽器の練習の中には基礎練習と応用練習があり、曲の練習には、セクションの練習と全体の反復練習があります。

楽器の練習

基礎練習

そもそも楽器を「ちゃんと」弾ける技術がなければ何も始まりません。そのための基礎練習です。スポーツで言えば、素振りだったり走り込みだったりキャッチボールだったりするのでしょうか。この基礎練習がどれだけ大事かというのはプロの行動言動を見れば分かります。ドラムの青山純さんの書かれた教則DVDのタイトルは「ひとつ打ちの真髄」。ひとつうちなんて基本のきです。どれだけ基礎練習を重視しているかが分かります。

ギターで言えば、ピッキング、スケール練習、ストローク、運指練習などになると思いますが、人それぞれに工夫して行っているのではないでしょうか。それらがその人のタッチの個性にもつながっています。ジェフベックの「スキャッターブレイン」は、運指練習に弾いていたパターンを発展させた曲だというはファン界隈では有名です。ともかく、特に憧れの世界のトップギタリストの曲を演奏するのに半端な基礎技術では弾けるはずがないのです。

応用練習

ちょっと派手なフレーズやトリッキーなフレーズなどは応用練習の範疇なのかも知れません。基礎練習の組み合わせで応用が可能になります。有名なギタリストは、ユニークな独自のフレーズやアプローチを持っていたりしますがそういうものは大概、いくつかの基礎技術の組み合わせや応用でできあがっています。。
有名なギタリストがよく使うリックに憧れて、そのリックばかりを練習するアマチュアギタリストも多いように思いますが、それではなかなか上手く弾けるようにならないと思います。まずは、そのフレーズに使われている基礎技術を身につけなければ同じようには弾けないのが道理です。バッティングの基礎を身につけずに大谷選手の真似ばかりしているようなものです(笑)

世界のトップギタリストの演奏は、練習の賜物として自分の個性にしているフレーズです。アマチュアギタリストが少し練習したくらいでは弾けるはずがないのです。有名なギタリストの多くは、いろいろな音楽からヒントを得て自分のスタイルを作っています。その彼らのフレーズには、ブルースやスパニッシュ、クラシック、カントリーなどいろんな要素が入っていることが多いです。彼らのフレーズを彼らのように弾くには、それらのヒントの元になっている音楽の奏法の研究や基礎練習をしないといけないわけです。いきなり応用の断片だけをやろうと思っても上手く行かないことは多いです。

ジェフベックななどでは、どうやって弾いているのか分からないものも多いですが、その元になっているロカビリーやカントリーなどを研究すると元になった奏法が見つかったりします。そういう面で、基礎と応用ということを意識するのも良いのではないかと思います。

楽曲の練習

セクションの練習

イントロ、バッキング、ソロ、などなど特にギタリストは、コードが同じでもポジションが違ったり、弾き方が違ったりします。それはオリジナル曲でもあると思います。各セクションを練習し、全体の流れを練習するという段階が必要です。

反復練習

全体を流して弾けるようになったら、それを間違えないよう、あるいは、インプロビゼーションが自由に行えるように、何度も弾いて体に憶えさせる反復練習が必要です。ジャズなどでは、譜面を見ながら演奏することも多いですが、ロックで譜面を見ながらというのは基本ありません。ダサく見えます。
反復練習により体がおぼえて、考えなくても間違わずに弾けるようになると非常に自由です。そのくらいの余裕があるとノリも良くなるし、より演奏を楽しめます。
1ヶ所でも不安なところがあるとそのヶ所が近づいてくると緊張するし、その不安を抱えながら演奏すると集中できずノリも悪くなります。

スティービーワンダーのバックバンドでは基本的にコンサート時は譜面を使わないそうです。理由は、その時の気分でスティービーが弾きだした曲を即座に演奏しないといけないからだそうです。すべて憶えて体に入っていないとそういうことはできませんね。スティービーワンダーのバンドのオーディションもそういうことを何時間もやるそうです(実際にアメリカでオーディションを受けた人の話の又聞き 笑)。

見極めの目

練習をしてマスターできたかどうか、ある基準に達したかどうかを判断するのは、誰かに習っていない限り自分です。この見極めは人それぞれに違います。自分に厳しい人、甘い人(笑)アマチュアの場合、楽しみ方はそれぞれなので良い悪いはないと思いますが、上手くなりたいなら当然厳しく見ないといけないのが道理です。
まずは、録音して聞くということが一番良いと思います。弾けていると思っていたけど、ミストーンだらけだったとか、逆の場合もあるかも知れません。いずれにしても、まぐれで1回2回弾けてもダメなわけで、理想は10回弾いて10回完璧であることですよね。少なくとも8回くらいは完璧に弾けなければ「弾けるようになった」とは言えないのではないかと思います(個人的観点)。この見極めの目によっても上達の具合が違ってくるのではないかと思います。

仕上がりイメージ

スポーツなどでイメージトレーニングという事を聞きますが、音楽でも同じではないでしょうか。何かをマスターしたいとき、マスターした自分をイメージしたり、目標になるギタリストの完成されたイメージを明確にして、そこに向かって練習するのは、漠然と練習をしているより効果があるように思います。仕上がりイメージということですね。旅行をするときにあてもなく旅をするとどこに行き着くか分かりませんが、行き先が分かっていれば、最短距離でそこに向かっていく事ができます。そういう面では、今は、Youtubeがあるので便利ですね。参考になるイメージを探すことができます。あるいは、上手な演奏を実際にライブで「見る」ことも重要なのではないかと思います。

練習のマインド

趣味でやる音楽では、楽しみ方は人それぞれなので、どれくらいの演奏レベルを求めるかも人それぞれでしょうが、上手く演奏できれば楽しいというのは誰も同じだと思います。それには練習がつきものですが、何も考えずに練習するよりは、ちゃんと考えて練習する方が効果があるし、合理的に(効率良く)上達できるのではないかと思います。

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