スライド奏法のツボ。

弾き方
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スライドバー選びの話を書いたので、そもそもの演奏について、経験からのポイントを書き記します。日本で有名なのは、鈴木茂さんですかね。独特の粘りのあるカッコいいスライドが聞けます。Charさんも派手にはやらないけど、普通に上手いですよね。海外では、レジェンドとしてはデュアンオールマン、ジョニーウインター、ロウエルジョージetc.近年ではなんと言ってもデレクトラックスではないでしょうか。あまり話題になりませんが、ジェフベックも実はスライドを多用していたし上手かったのです。

基本的な演奏法のツボ

1.音程を安定させる

なんと言っても要は、安定した音程を出しながらフレーズを弾くことです。音程が安定していないと聞きづらくなります。音程へのアプローチには、下から上がっていくのと、上から降りてくる2つがありますが、この2つをうまく使い分けて安定した音程を出すことが必要です。

その際、スライドバーはフレットの真上で止めなければなりません。普通の演奏で指板を指で押さえる場合は、フレット間を押さえますが、スライド奏法では、スライドバーがフレット代わりになるのでここがずれると正しい音程が出ません。

また、アプローチのスピードや押さえ方のコントロールで、ブルースなどでは独特の粘りっ気がでます。カッコいい演奏はこの粘りがカッコいいわけです。こればかりは、いろいろな演奏を聞いて真似るしかありません。

●上げて止める

●下げて止める

●上げ下げの組み合わせ

2.ミュートする

スライド奏法では、バーで弦を押さえているので、そのままでは音がサスティーンにまかせて伸びたままになります。そこで、ミュートして、音符通りの音の長さにする必要がでてくるわけです。

ミュートには、2種類あります。ひとつは、弾いている手(一般的には右手)で弦を押さえる。もうひとつは、スライドバーの隣の指で弦を押さえるというやり方です。

ミュートする指はどちら側でも良いのですが、ヘッド側の指でやる場合は、ミュートすると同時にスライドバーをわずかに持ち上げることが必要です。書くと難しそうですが、感覚的にできるのではないでしょうか。このミュートが上手くできるようになると、速いフレーズや複雑なフレーズが弾けるようになります。逆に言えば、ミュートをマスターしなければ、そういったフレーズはグダグダになってしまってきれいに弾けません。

●スケール練習(ミュートを使いながら正確に音程を弾く練習)

3.ビブラートをかける

スライド奏法でのビブラートは、バーを弦にそってふるわせるように細かくスライドして音程を上下させることで行います。これもスライド奏法にとっては重要なポイントです。表現力としてももちろんですが、音程の安定感をカモフラージュする効果があるのです。平たく言えばごまかせる(笑)早いフレーズなどで、一発で正しい音程を出すのは難しいですが、ふるわせて音程を上下させることで、ひとつの音程にとどまらないので、ごまかせるわけです。しかし、このふるわせ方で個性やニュアンスが出るので、ここも重要なポイントです。

●ビブラート


以上が大きなポイントですね。

この3つをマスターしなければ、スライド奏法を自在にすることは難しいんじゃないかな。

そして、かっこよく聞かせるためのテクニックを2つ。

4.和音でやる。

スライド奏法のカッコいいサウンドのひとつに和音で移動するというのがあります。例えば、スライドバーを7フレット上で止めて2,3,4弦を同時に弾けばDのコードがなります。これにビブラードをかけたり、あるいは下からスライドさせてここで止めたりすることでカッコいいサウンドが出ます。同じポジションで、2弦と4弦だけを弾くと6度の和音になります。こういった2本3本の弦を真横に同時に弾ける場所を覚えておいてフレーズの合間にいれるとカッコいいソロができます。

5. 弦をまたいだピッキング

スライド奏法では、基本的に横に並んだ弦しか同時に鳴らせないという制約があるので、カッコいいフレーズでは、弦をまたいだピッキングが必要なフレーズが多くなります。特に4弦から1弦までを順に弾いたりするフレーズなどが頻繁に使われているのでそういった練習も必要です。あと6度和音もスライドでやるとカッコ良いですが、これも弦を跨ぎます。

6.ピックで弾くのか指で弾くのか、両方か。

右手のピッキングをどう行うかという話です。デュアンオールマンやデレクトラックスなどは、指でしかもベースプレイヤーのように弾きます。ライ・クーダーなどは、もともとピックやサムピックと指で弾いていたので、スライドでも同じようにしているようです。これらは、良し悪しではなく、求めるサウンドや弾きたいフレーズによって違ってきます。どちらかといえば、指で弾くほうが利点は多いです。ピックだけでは弾けないフレーズもあります。指だけで弾くとミュートや弦をまたいだピッキングがしやすいのも利点です。

●指弾きの利点

ミュートがしやすく、指トリルが可能になり、ピックでは弾けないフレーズが弾ける。



和音を出す方法の発展型です。スラント奏法というのは、スチールギターの奏法で、弦2本で和音を出したいとき、バーを斜めにすることで半音違いにして、目的の和音を出す奏法です。

ギターのチューニング

スチールギターというのは、オープンチューニングになっています。

普通のギターでもスライド奏法をかっこよくやるためには、変則チューニングが欠かせません。スライドバーでは、横に並んだ弦しか同時に鳴らせないですからね。

もちろん、レギュラーチューニングでもできるし、やっている人もたくさんいますが、変則チューニングを使うことで、レギュラーではできないフレーズやサウンドを作ることができます。
ジェフベックなどは、昔からスライドを多用していましたが、ずっとレギュラーでやっていました。理由は「コンサートの途中でチューニングを変えるのはかっこ悪いから」と言っていました(笑)しかし、後年はドロップDなども使っていたようです。Loud Hailerの中のOILという曲では、途中からオイル缶製のギターでかっこいいスライドプレーをやっていましたが、6弦と1弦をDに下げたチューニングでした。

●ちなみにレギュラーチューニングでのフレーズ例

1.ドロップD

最も手軽な変則チューニングです。1を1音落としてDにします。これだけなので残りの5本はレギューラーと同じなのでフレーズも組み立てやすいです。また、すぐに戻すことができるので、同じギターでライブの曲間に変更できます。しかし、1弦をDにするだけで大きな効果が得られるのです。1~4弦でコードが弾けるようになります。7フレット上で1~4弦を弾くとDになります。9フレットだとEです。6弦がEなので、アコースティックギターなどでは、1本でソロがしやすくなります。6弦もDに落とせばDのキイで同じことができます。また、ブルースなどでよく使われるフレーズがこれによって1~3弦を使って弾くことができるようになります。

●ドロップDの開放弦とフレーズ例

2.オープンE(もしくはD)

ブルースでよく使われるチューニングです。

1弦から、EBG#BEになるようにします。開放で弾いてEコードになるわけです。レギュラーからだと、2弦5弦を1音上げて、3弦を半音上げます。
このまま全部を1音下げるとオープンDになります。レギュラーからだと、1弦6弦を1音上げて、3弦を半音下げます。
スライドの歴史的名演、デュアン・オールマンのStatesboro BluesはオープンEで演奏されています。あのフレーズの数々は、オープンEでないと弾けません。もっと古くではエルモア・ジェイムスとか、あのド迫力のサウンドはオープンチューニングならではです。

このチューニングでは、レギュラーと音の位置がかなり変わっているので、自在に弾けるようになるには時間がかかると思います。最初から音の位置を覚えるのではなく、オープンEで演奏された曲から、フレーズの断片をコピーしていくのが良いと思います。音の位置がわかるようになるのと同時に、フレーズのフォーメーションも覚えることができます。

●オープンDの開放弦とフレーズ例

オープンチューニングの場合、低音弦とセーハを使いながらの演奏が可能になる。

ほかにもオープンGや、たくさんあるようですが、上の2つをまず覚えると、スライドのフレーズのフォーメーションやブルースなどの常套句が憶えられるので良いのではないでしょうか。

ロックギターの分野で、スライドができるとカッコいいです。
スライド奏法にトライしたことのない人は、とりあえずバーを買ってみてLet’s Try!!
目指すスライドサウンドはなにが良いのか、いろいろ試してLet’n Slide!!
(言葉だけでは伝わりにくいので、追って動画をプラスします)

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