コードスタイルによるムードの違い。

弾き方
この記事は約6分で読めます。

エレキギターが活躍する場面は、ロック、フォーク、J-POP、ジャズ、R&B、ソウル、カントリー・・・様々ですが、同じコードネームでもそのポジションやフォームには大きな違いがあります。そういう違いがサウンドにも出るので描く音楽スタイルのらしさを作っています。
逆に言えば、そのあたりを踏まえていないと、場違いな音を出してしまうと言うことでもあります。

大ざっぱに言えば、ロック、フォーク、カントリーとジャズ、R&B、ソウル系では大きく異なると言えます。J-POPというのは、その中に上記のスタイルを含有しているので別にしておきます。

違いとしては、ロック、フォーク、カントリー系は、シンプルなコードが多く、ジャズ、R&B、ソウル系では、テンションコードや分数コード、代理コードなどが使われるのと、アンサンブルを考慮して、基本的には6弦全部を弾かないことが多いです。

また、コード進行の特性も各ジャンルで異なり、その影響でのコードフォームの違いも生まれてきます。特にジャズ、R&B、ソウル系では、コード進行によって同じコードでもフォームが違ってきます。

コードスタイルによって表現できるもの

コードフォームによる「らしさ」は音楽のかっこよさのひとつなのでこだわる方が楽しめるのではないでしょうか。なお、ハードロックはそもそもこういうコード進行をしないので除外しています。

ロック、フォーク、カントリー系

ガツンと行きたいので、シンプルではっきりしたコードスタイルを使います。アメリカンロックもカントリーの流れをくむものが多いので、エレキでもこういった開放弦を使ったローコードが使われます。また、ロックでは3度の音を省いたパワーコードもよく使われます。ロックでは、ベースやキーボードと同じ音をユニゾンで弾くことでパワーを生み出したりします。

ジャズ、R&B、ソウル系

エレガントな流れやメロウで曖昧な浮遊感を出したいために、メジャー7thとか9th、分数コード(11th)などを使います。基本的にあまり開放弦を使ったローコードは使われません。また、ジャズ系では主に4〜2音で構成されることが多く6弦全部を弾くと言うことはありません。また、ジプシージャズなどでは、6+9thやm6などを使うことでジャンソンのような独特の憂い感がでています。逆に言えばそういうコードを使わないとムードが出ないワケです。ロック系と違って、バンドで演奏する場合は、ベースやピアノといった他の楽器の音域も考慮して、重複する音域の音は外して弾いたりします。

ハードロック

1度と5度を使ったパワーコードの場合が多く、3度の音がないことでメジャーともマイナーともつかないムードになり、メロディの自由度が広がります。それと同時にキャラクターが分からなくなる分、ソリッドでスリリングなムードが生まれ歪ますことで破壊的でパワフルなヤバさが醸し出され、それがハードロックらしさになります。またコード進行も1度、短3度、5度、短7度といった硬い動きが多くパワフルに聞こえます。

アレンジ系

フォークソングなどでも、アレンジによっては浮遊感のあるシティポップ的になります。ロックでもテンションコードを使って世界観を作っている場合があります。ジミヘンは、パープルヘイズでロックでは余り使われなかった#9thの不安定な響きをうまく使って独特のヤバイ感じを表現しました。#9thはジミヘンコードとも呼ばれています。
ジミーペイジも、レッドツェッペリンで早くから9thや13thを使って変わったムードを出していました。9thや#9thはロック・ブルースの分野では7thの代わりとしてよく使われます。
ポップスの世界で分数コードを使い始めたのはキャロルキングだと言われています。キャロルキングの歌を聴いていると、ルート〜短7度に下がるときに、ベースをそのままにして分数コードになったパターンが良く出てきます。

ロカビリー、その他

ロカビリーでは6thを使うとムードが出ます。コード進行はブルースやフォーク、カントリーなどと似ていますが、ガツンとした和音世界の中に6thが入るとどこかエレガントな世界観が生まれロカビリーのムードになります。ハワイアンも6thのコードが特徴的です。

1-6-2-5での違い

分野ごとのコードスタイルの違いを示すために1度-6度-2度-5度のコード進行を例に各分野の一例を取り上げています。特にジャズなどでは無数にパターンができるのであくまで一例として見てください。

フォークソング

極めて基本的な初心者本のコードブックに載っているようなフォームです。しかし、ロックやジャズなどをこれでやるとあれ?って違和感があります。

ジャズ・フュージョン

ジャズは、できるだけ和音の流れをスムーズにしてエレガントで浮遊感のあるムードを出そうとします。ここに載せたのはごくごく一例です。代理コードをどんどん解釈していけば無数にパターンが生まれます。この例ではコードが変わっても2弦の5フレットのEが常に鳴っていることになります。こういったボイシングの工夫をどうやるかがジャズの面白さでもあります。

R&B

ソウル系では、歌があり、ギターは伴奏でありバンドの一員です。ベースが居るのでベース音を省き、4〜1弦で歌のオブリガートや合間のフィルなどを加えながら弾くことが多いです。

ジプシージャズ

ジプシーのコードフォームはほぼ決まっていると言ってもも過言ではありません。逆に言えば、そのコードフォームを使わないとジプシージャスにはならないという感じです。特にm6や69が哀愁を帯びた独特のムードを醸し出し、またジャンゴの指が使えなかったことから3音を中心にしたコードフォームになり、その乾いた響きがジプシージャズのムードにもなっています。もちろん、ポンピングと言われるストロークも必須です。

ブルースにおけるターンアラウンドの違い

ブルースを演奏するときに頭に戻るアプローチをターンアラウンドなどといいますが、ロックブルース系とジャズ系では、そこのやり方が決定的に違います。ジャズ系は、とにかく2-5(トゥファイブ)の嵐なので、こういうところにも2-5が使われます。

ロック&ブルース

最も基本的でシンプル、分かりやすい感じで元に戻ります。

ジャズ

ジャズではターンアラウンドをどう弾くかによって演奏のかっこよさが大きく違って来たりします。それだけに工夫の足所ですが、よくあるパターンというのはいくつかあります。この例では、フォームは2種類で場所が移動するだけです。それによって一定の音が半音ずつ降りてくるのがポイントです。

ジョーパス的ターンアラウンド(ジャズ)

ジョーパスがよく使ったのか開発したのか知りませんが、ジョーパスモードと呼ばれるターンアラウンドの例です。2種類のフォームでC7から半音ずつ下がりながら頭に戻ものです。中間のBb7、D#9、G#7は、次のコードへのアプローチノートであるということです。

タイトルとURLをコピーしました