Greco Guitarのオマケ

弾き方
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大昔、グレコのギターを買うと「成毛滋のロックギターメソッド」というテキストとカセットテープのオマケがついてたことがあり、私も初めて買ったグレコの白のストラトキャスター(残念な事に当時はメイプルネックしかなかった)にもついていました。

表紙

これが、今振り返ってみるとオマケとバカにできないとても優れた内容で、ロックギターに必要な事、大事なことが体系的にまとめられており、しかも余計なことが載っていなくて、ロックギターを学ぶには十分な素晴らしい内容でした。しかも成毛さんがお手本を弾いたカセットテープがついていますから、実際の音を確かめながら練習できます。これでロックギターが上達したという人は、相当な数いるんじゃないでしょうか。昔、ラジオで桑田佳祐さんもそんなことを話していたように思います。

ウラ

ここにあったスケールの運指練習などは今でもやっています。また、ロックに必要な音楽の基礎やブルースの基本形も載っていて、昔はとにかくみんなブルースから入っていたので、これによってすんなりブルースに入れたのでした。今のようにネットを叩くといろいろ出てくる時代ではない(携帯電話すら影もカタチもない)かろうじてカセットテープがあった時代です。しかし、情報が少ないだけに、余計なことに惑わされずに、これだけをやるということも良かったと思います。
とにかく、これだけやるだけでかなり上達できるはずです。高校性の頃は、これらを何時間やったかということを友人と競っていました。

成毛さんのお手本音源付

おっさんになってから音楽活動を再開して、セッションなどにも行くようになって驚いたのが、ロックギターを弾いているのにブルースを知らない若い人が結構いたことです。我々の世代は、12小節の感覚が染みついていて、12小節の繰り返しで迷子になるなんて考えられませんでした。聞いてみると、布袋とかバンヘイレンから入ってくるそうなので、ブルースを通らないんですね。時代が違うんだなぁと感じました。そういえば、ジェフベックサイトのオフ会に来ていた当時中学のファンの子は「話を共有できる同級生がいない」と言っていました。私たちの時代は、やはり三大ギタリストからなので、ブルースは必須科目だったのです。今はおびただしい情報が出てきて、逆に何からやれば良いのか分かりにくいとも言えるかもしれません。でも最近は、若い人でもブルースを好きな人を見かけるますね。海外でもジョンメイヤーとかジョーボナマサとか、若い世代の人気ギタリストでも渋いブルースを演奏しますね。

話が逸れましたが、成毛さんのこのメソッドは、今でも充分通用する素晴らしい内容だと思います。そこで、追って「成毛滋のロックギターメソッド」から参考になる練習を抜粋してご紹介します。とりあえず、これだけやればロックやブルースを弾く土台はできるんじゃないかというヤツです。特にアマチュアはなかなか時間がないですから、効率良く練習しなければなりません。そういうときにとても役立つ練習が載っています。
そして、冒頭にものすごく良いことが書いてあるので抜粋引用します(当時は読んでなかった 笑)。

——ここから引用—->
まえがき
エレキの教則本を書くというのは、大変難かしいことなのです。なぜなら、クラシックのように、キチッと練習曲をマスターしていった人が、必ずしも良いギタリストだとは言えないからです。現在活躍している世界的なギタリスト達は殆んど自己流で、ちゃんと基礎から練習した人達ではないし、基礎からやっても彼等のようになれるとは限らないのです。かといって、彼等は決してデタラメをやっているわけではなく、ちゃんと音楽理論にかなった事をやっているのは、彼等が先天的に秀れた音感を持っていたかものすごい努力をしたかの結果によるものなのでしょう。
いづれにせよ、ロックギタリストになろうと思ったら、教則本などに頼ろうとせず、自分でレコードをコピーし、自分で外国バンドのステージを見て、そのテクニックを学ぶしかないのです。しかし、これは決して易しいことではないし、一度始めにまちがった事を覚えてしまうと、後で気づいても直すのに非常に苦労します。——-(中略)——–このように、まちがった知識がやたら大手をふってまかり通っているので、僕もこんな本を書く気になった訳です。従ってこの本は、よくある教則本のように“最初から順々にやっていく”とか“一頁づつ必ずマスターしてから次へ進む”等というような事はして欲しくないのです。
自分でレコードをコピーしていて、ちょっと分らないとこがあったり、これでいいのかなと思うようなとこがあった時に、参考に見て頂ければいいのです。あるいはヒマな時に見ていて、こういうのをオレも身につけてみようかなとか、これは面白そうだなと思うようなことがあったら、それだけ練習すればいいのです。
人間、他人からやれと言われたことよりも、自分でやりたいなと思った事の方が、情熱がわくし、熱も入り、熟達しやすいのです。イヤイヤ教則本から教えられた知識など身につくものではないのです。
特にロックギターの場合、自分でやりたいな”と思ってやることが大事なのです。そうして得た知識にこそ生命があり、バイタリティーがあるのです。
だからこの本は教科書ではなく、アンチョコなのです。ただし、8ビートピッキングだけは、マスターしておいた方が、後で役に立ちます。これだけは、各人の好みにかかわらず、ロックギターの最低必要条件です。もし、いいギタリストになりたかったら、これだけは練習して下さい。あとは御自由です。
17-JAN-73
Shigeru Narumo(サイン)
——>引用ここまで

1973年の時点で、ロックギターの本質的なことをおっしゃってますよね。今でも大事なことは変わっていないと思います。当時ここまでロックギターのことを分かっていた人は少なかったんじゃないでしょうか。「成毛滋のロックギターメソッド」は、成毛滋さんが、本当にギター小僧や未来のロックギタリストのことを考えて、考え抜いて洗練させてつくられたものだと思います。

亡くなった私の友人が、ある有名ギタリストと親しく、とある場所で成毛滋さんを紹介され、しばらく話す機会があったそうですが、とても親切で優しい良い人だったと言っていました。その数年後にご病気で亡くなられたのですが。日本のロック黎明期から、日本のロックギターの発展に随分貢献された方だと思います。確か某超大手タイヤメーカーの一族の方かなにかでしたよね。
ロック黎明期から「向こうぽい」カッコ良いギターを弾いていました。フライドエッグというバンドは、ギターが成毛滋、ドラムがつのだ☆ひろ、ベースが高中正義という今をときめくメンバーでした。

<続く>

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