ジムクリューガー(Jim Krueger)というギタリストをご存じでしょうか。似た名前でジムクリューガン(ロッドスチュアートバンドなどに在籍)というギタリストも居ました。その人とは別人です。
ジムクリューガーは、デイブメイソンバンドやDFK(Dudek,Finnigan, Kreuger Band)などで活躍しましたが、その後病気で亡くなられたそうです。情報がないので詳しいことは分かりません。
とてもブルージーかつモダンなギターを弾き、歌も上手いとっても好きなギタリストでした。1枚だけソロアルバム「Sweet Salvation」がでていますが、廃盤になっています。これがとても良い内容で、多彩な楽曲と味のある歌、素晴らしいギターが弾ける名盤なのですが、なぜか廃盤で手に入りません。CD化もされないまま。
学生時代にレコードから録音したカセットテープで持っていただけでしたが、最近、音楽仲間がレコードを持っていることを知り、借りてデジタル化しました。
そのほかに、デイブメイソンのレコードで彼の名演が聴けます。一番分かりやすいのは、「情念のライブ」で、ジムのギターとコーラスが堪能できます。個性的な声なのにコーラスですごく良いんです。Bring It On Home To MeとGoing Down Slowというブルースでは、トーキングモジュレーターを使ってソロをとります。
レコードのライナーノートに書いてあったのでは、彼は好きなギタリストの筆頭にジェフベックを上げており、それでトーキングモジュレーターのアイデアなのかも知れません。
彼のギターは、カントリーベースにブルース、ジャズなど、いろいろなスタイルが融合した多彩なもので独特のタッチと歯切れの良さ、洗練されたフレージングが素敵で、生きていたら素晴らしい音楽をつくっていたと思います。
ソロアルバム「Sweet Salvation」の中に「Hotnoggin Country Raga」というカントリー調のインスト曲がありますが、チッキンピッキンをベースにしたカッコ良いギタープレイが満載です。デイブメイソンもやっている「We Just Disagree」も入っていますが、この曲の作者はジムクリューガーなのです。メロディとコーラスが素晴らしいSweet Salvation、Trinidadは、明るい曲調と個性的なビートにカントリー調のギターが乗っかっているカッコ良い曲。オフコースのアルバム「Three and Two」に「恋を抱きしめよう」という曲がありますが、これがTrinidadにビートも曲調(コードやカッティングのリフとか)もそっくりで、インスピレーションを得ているのではないかと思います(パクリではありません)。
デイブメイソンバンドでは来日もしています。その後は、レスデューディック、マイクフィニガンとともにDudek,Finnigan, Kreuger Bandを結成しアルバムが1枚でています。
「70年代にボズ・スキャッグス、デイヴ・メイスンバンドの主力メンバーとして頭角を表した3人によって結成されたスーパー・グループ唯一のアルバム。サザン・テイストと洗練度を極めたサウンドが見事に融和したAOR/アメリカン・ロックの隠れた名盤」と紹介されています。レスデューディックは、オールマンブラザーズの「Jessica」のメロディでハーモニーのギターを弾いていることでも有名ですが、早くからフュージョン的な音楽をやっていた南部のギタリスト。マイクフィニガンはCSNYのバックやデイブメイソンなどでオルガンを弾いていたブルースオルガンの御大。そしてジムという凄いメンバーだったのですがアルバムは1枚だけです。
ジムのその後の消息が分からなかったのですが、亡くなられたということをmixiの関係サイトで知りました。もっと活躍して欲しかったミュージシャンです。とても残念です。
「ライヴ~情念」Certified Live/デイブメイソン
このアルバムは、デイブメイソンの中でも、ロックの中でも名盤の上位に入るのではないかと思います。楽曲の良さ、演奏の安定感、ライブのインプロ性、迫力などいろいろな面で素晴らしい内容です。どの曲も良いのですが、ファンキーな16ビートで演奏されるFeeling Alright、ジムのバッキングパターンがカッコ良いAll Along The Watchtower、全編3声コーラスで展開するBring It On Home To Me、マイクフィニガンの歌とオルガン、ジムのギターが冴えるGoin’ Down Slowなどは聴き所です。コーラスで一番上のパートを歌っているのがジムです。
このアルバムでもジムの歌とギターが聴けます。ジム作のWe Just Disagreeが入っています。