ジャコパストリアスはジャンルを越える。

ミュージシャン
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ロック好きの人でもジャコパストリアスが好きな人は多いのではないでしょうか。ジャズはよく知らないけど、ジャコは好き。私もそんな一人です。もちろんジャズも聴いたり、好きなジャズギタリストもいるし、フルアコを持っているし、なんちゃってジャズ演奏はしますが、本格的なジャズファンでないという感じです。

ジャコの魅力。

ジャコの映画。最後は重い気分になる(^^ゞ

ソロの時にロックっぽいことをやるからということばかりではなく、ジャコのベースは、ジャンルを越えて惹きつける魅力があると思います。スイングビートを演奏していてもジャコのビートは独特な感じがします。有名なチキンは、有名な人もアマチュアも含めあちこちで演奏されるのでよく耳にしますが、ジャコほどノリの良いベースを聴いたことがないです。不思議です。

あの独特のジャズベの音と相まって、ジャコの演奏は独特です。しかし、決してトリッキーなだけではない。オーソドックスな方法論を踏まえて、トリッキーなこともやるし、アグレッシブにも弾く。しかし、どこかオーソドックスな安定感がある、不思議なベースです。
歌のバックで、かなり独特で外れたことをやるのに全然うるさくない。不思議な存在感です。
また、ジャコのフレットレスベースで、フレットレスベースという楽器自体も注目されました。

ジャコのドキュメンタリー映画がありますが、あれを見ると悲しくなってきます。これだけの才能の人が、なぜあのような最後になるのか。家もなくなってバスケットコートで寝ていたなんて・・・。誰だったかジャズの巨匠の興味深い言葉があります。謙虚であれという意味の言葉ですが「ベーシストでわがままを言って良いのは世界でジャコだけだ」。

ジャコの完成度。

まずは、これでしょう。

こういう天才肌の人は、デビュー時点で完成されている場合が多いですが、ジャコもご多分に漏れず、ファーストアルバム「ジャコパストリアス」の完成度が凄いです。ベースの概念を変えるような革命的な内容でした。
1曲目のDonna Leeは有名ですが、私は当時、曲を知らなかったので良く分かりませんでした(笑)が、しかし、なんだこれは?という、理屈抜きに惹きつける衝撃的な演奏です。2曲目の16ビートの曲「Come On, Come Over」もすごいです。16ビートの曲でこんなベースの弾き方があるのだと。当時は、チョッパーベース(今で言うスラップ)が流行っていた時代で、16ビートというとそういうイメージでしたが、ジャコのこの曲は、細かいパッセージで独特の16ビートのノリを出しています。他にもハーモニクスを駆使した有名なソロ「トレーシーの肖像」。ほかにもユニークな曲ばかりで、しかも聴いたことのないようなベースプレイばかりです。スティールパンを知ったのもこのアルバムでした。
また、教則ビデオ(最後にチキンをやるヤツ)が出ていたのですが、そのエクササイズのフレーズだけでもカッコ良いのです。

ジャコの演奏。

Bird Landが有名になった

ジャコというと、まずウェザーリポートの「Bird Land」が有名です。「ベースでもハーモニクスをやるんだ」と思った演奏です。ウェザーリポート時代のジャコ参加アルバムは「Black Market」「Heavy Weather」(Birdland収録)、「8:30」「Night Passage」。その後、Word of Mouthからビッグバンドなどを率いて活躍していました。

ロック系の人には、ジョニミッチャルとの活動が印象深いかも知れません。Shadows and Lightでの演奏は、ジャコの中でも名演に数えられています。Coyoteと言う曲が好きなのですが、こういう曲で普通こんなベースの弾き方はしないでしょう。で、うるさいかと言えば、むしろ演出効果としてカッコ良いわけです。ベースとしての役割を押さえながらもっと飛躍している。
あとスイングビートの小気味よいリズムのThe Dry Cleaner From Des Moines、アルバム「Mingus」のThe Dry Cleaner From Des Moines、スイングした16ビートを独特のリズムで演奏し、ホーンアレンジもジャコだと思いますが独特の音の切り方をします。
ジャコも凄いですが、ジャコを起用したジョニミッチャルも凄いですけどね。このジョニミッチェルという人も、なかなか奥深い人です。ジャコの映画でも、最後の方でジョニミッチェルのコメントが出てきます。

ジャコ初参加のアルバム
ブラックマーケットは、ロックにも通じるグルーブ。Bird Landが3連になっていたり、とにかくカッコ良い。
ジャズ的な部分がとても洗練されたカタチで処理されているような気がする。ワードオブマウスでも再演しているジャコの名曲「Three Views of A Secret」も収録
ビッグバンドで、さらに世界観が大きくなったワードオブマウス。Three Views of A Secretをビッグバンドで再演。
Shadows and Light
Mingus

ジャコのベース。

ジャコと言えば、ジャズベースのフレットを抜いてつくったフレットレスベースが有名ですが、あれは、さらにFRPを塗ってあるそうです。そのあたりにも音色の秘密がありそうですね。昨今5弦ベースを弾く人も多いですが、ジャコは4弦であれだけの演奏をしていたんです。とにかく、当時、ジャコのおかげでフレットレスベースがとても流行った、というか普及したのではないでしょうか。ジャコに憧れて、中古のベースのフレットを抜いてつくったもんです(笑)結局、あの「ぷわ〜ん」がやりたかっただけで、ロクに弾けなくて売ってしまいましたが(笑)

ロックが好きで、フュージョンなどのジャズ的なのも好きな人は、ぜひ聴いて欲しいベーシストです。というか、ジャコを聴かないのは大きな損失だと言っても過言ではないでしょう。ジャンルを問わずリスペクトされているのはジミヘンと似ているかも知れませんね。

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