リックデリンジャーと言う人は、日本のオールドロックファンの中でも意外と地味な存在なのではないでしょうか。70年代に一緒に活動していたジョニーウインターやエドガーウインターの方が有名で、その影に隠れてしまっているような気がします。
私はこの人の、ポップなロックンローラーでありながら、とても泥臭いエッジのきいた面、そしてエレガントな感性が入り交じった独特のテイストを持っていて、ギタリストとしても、ボーカリストとしてもカッコ良いです。多彩な楽曲とカッコ良い演奏がふんだんにあり、ぜひ聴いて欲しいギタリストです。
マッコイズ、エドガーウインターグループ
そもそもは、マッコイズというポップバンド?でデビューし「Hang On Sloopy」というポップな曲が大ヒットしたそうですが、その時代は良く知りません。この「Hang On Sloopy」は英国でもヒットしたようでヤードバーズも「My Girl Sloopy」という曲名でレコーディングしているんですよね。ヤードバーズの「My Girl Sloopy」は、ジェフベックがお得意の3連のプリングオフを無理矢理突っ込んでいます(笑)
で、リックデリンジャーが日本のロックの人にも知られるようになったのは、やはりエドガーウインターグループでギターを弾き始めてからではないでしょうか。「フランケンシュタイン」が有名ですが、実はギタリストとしてだけではなくてプロデューサーでもあるんですよね。この頃も非常にロックなカッコイイギターを弾いています。「タバコロード」などをやっていてめっちゃカッコ良いです。ジョニーウインターの「ジョニーウインター アンド」にも参加しています。このウインター兄弟も渋いカッコ良いミュージシャンですね。兄のジョニーウインター、弟のエドガーウインターそれぞれに個性が違ってカッコ良いです。また別にご紹介します。
ジョニーウインターアンド
ジョニーウインターアンドのライブ。ジャンピンジャックフラッシュがカッコ良い!
ALL AMERICAN BOY
その後、リックデリンジャーは、自身のソロアルバム「All American Boy」が出ます。私はこれでこの人を知ったのですが、このアルバムが、めっちゃ良いんです。この人の多彩さがよくまとめられたアルバムだと思います。
今でもロックバンドでよく演奏されるリフがカッコ良い「Rock’n Roll Hoochie Koo」、インストから続く美しいメロディの「Joy Ride~Teenage Queen」、カントリー調のポップ曲「Cheap Tequila」、シンプルなヘビィロック調の「Uncomplicated」、ゆったり流れるバラード「Hold」、何かのドラマのテーマソングになりそうな「The Airport Giveth」、トーキングモジュレータを使い、ユニークなビートの曲「Teen Age Love Afair」、小洒落た「It’s Raining」、16ビートのロックインストルメンタル「Time Warp」、カッコ良いロック曲「Slide On Over Slinky」、最後は雄大なスケール感のあるミドルテンポのバラード「Jump, Jump, Jump」。もう名曲と名演奏揃いで、外れ曲がない。本当に多彩で器用です。
この頃は、少年のような少女のようなアイドル系の甘いマスクで、次の「Spring Fever」というアルバムジャケットは一瞬女性かと思うほどです。「All American Boy」は、知らない人にはぜひ聴いて欲しいアルバムです。
ちなみに「Spring Fever」には、ジョニーウインターもよく演奏していた「Still Alive The well」「Roll With Me」、大ヒット曲「Hang On Sloopy」も収められています。
名盤です。リックファンは全員これがイチオシなのではないでしょうか。
大ヒット曲やジョニーウインターでもおなじみのあの曲も。
ビニーアピスがドラムで、リンクが歌にギターにゴリゴリ行くカッコ良いライブです。
DERRINGERS、DBA
これらのアルバム後に、つくっていたバンド「Derringers」はドラマーがビニーアピス(カーマインアピスの弟)で、カーマインとも交流があったようでカーマインがソロアルバムを出したときに来日しましたが、その時のギターで来ていました。見にいっていてびっくりしました。その後は、BBAのティムボガート、カーマインアピスとともにトリオバンド「DBA」で活動(Ladyをやっていた)したりしていたこともあります。Derringersは、アルバム1枚とライブアルバムしか出しませんでしたがカッコよかったです。
子供バンド、ブルース
日本の「子供バンド」のアルバムのプロデュースをしたりもしていました。そういえば、マイケルジャクションのBeat Itパロディ版でエディバンヘイレンのパロディ演奏とかよくわからない活動もしていました。と思えば、スティリーダンのレコーディングに入っていたり。この人のギターには独特の味があります。ポップかと思いきや、めっちゃ泥臭いゴリゴリしたところを持っているんですよね。
後年は、ブルースのアルバムをたくさん出していてCD「Blues Deluxe」では、タイトル通りのジェフベックの「Blues Delux」をやっていたりしますが、これがまた良いんです。クラプトンの「Blues Power」もカッコ良い。アイドルのような美少年も、さすがに今は良いおじさんになっていますが(笑)
■リックデリンジャーの名前は知らなくてもこの曲は知っているという人も多いのでは?
■ジェフベックの代わりにリックが入ったという。リックのギターの音は結構骨太なので合うかも。
■クラプトンの曲をポップで泥臭く軽快にやるリックデリンジャー独特のテイスト。個人的にはこっちの方が好きです。