スライドバーの選択。

機材・装置
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スライド奏法の起源は、良くわかっていないようですが、スチールギターのようなフィーリングを普通のギターでもほしいということで始まったのではないかという気がします。だから、ハワイとか、ヒルビリーの里のアメリカの田舎町か。
最初は、演奏するバーなどにあったお酒の瓶でやっていたのでしょうね。これではやりにくいということで、じゃあ、この瓶の口が指にぴったりだから、ここだけ使おうということで瓶の口を切って指にはめてやりだしたのではないでしょうか(推測)。
あるいは、そもそもスチールギターも最初は普通のギターを横にしてやったところから発展したそうなので、発展の途中で指にはめてやる奏法が生まれてきたのかも知れません。「こりゃ手軽でカッコいいわ」ってことで、カントリーやブルースなど、自由度の高い音楽に広まっていったのでしょうね。

なにはともあれ、今や、スチールギター的というのではなく、独特の表現ができる奏法としてサウンド的にもひとつのジャンルになり、ロックギターにも欠かせない奏法です。
一般的にスライドで演奏する曲は決まっていることが多いですが、ジェフ・ベックなどは、とくにスライドの曲以外でも、気まぐれにスライドで弾くということも多かったです。そういう人は珍しいかも知れません。デレク・トラックスのように常にスライドという人もいます。

古いところでは、エルモア・ジェームス、マディ・ウォーターズが有名ですね。意外かもしれませんが、ストーンズのロン・ウッドもよくスライドを使います。スライドをするときに、どんなバーでやるのかという問題(というほどのものではありませんが 笑)とどの指にはめるかということと、さらに右手はピックなのか指なのかという3つのポイントがあります。

1.スライドバーの素材

スライド・ギターは「ボトルネック」と呼ばれるように、古くは酒の瓶の口の部分を切って使っていたようですが、今は金属(ステンレス)とガラスの2種類があります。弾き心地や音質が微妙に違います。

ステンレスはやはり金属的で、エッジの聴いた音になり、ガラスは少しまろやかで中域がふくよかな印象があります。

ロックにはステンレス、泥臭いブルースなどにはガラスが良いかも知れませんが、その辺りは好みでしょうね。弾き方によっても音が違ってきますし。

デュアンオールマンは、コリシディンという薬の瓶を使っていたという有名な話がありますが、デュアンが使っていた瓶の薬は今は販売されていないようで、コリシディン瓶タイプののレプリカが売られています。

デュアンの後継者、デレク・トラックスやライ・クーダーはガラスを使っています。でもブルージーなスライドの名手ボニー・レイットやジョニー・ウインターは金属、ジェフベックは、どちらも使っていました。亡くなったスライドの名手ロウエルジョージは金属でした。

大昔のプレイヤーは、そんなステンレスパイプなどない時代でしょうからガラス瓶の口を切って使っていたのでしょう。どちらを選択するのかは、本当に好みです。しかし、ガラスパイプは落としたら割れるというデメリットがあります。私もそれをやってから金属にしています。ジェフ・ベックもステージ上で落として割ってしまい、スタッフがとんできて破片を掃除したのを目撃したことがあります。

一方金属タイプもステンレスとはいえ、使ってそのまま放置してると中がサビだらけになるのでご注意。鉄比率の高いステンレスを使っているのでしょうね。

2.バーをどの指にはめるか

これは結構大きな問題です。根本的な演奏に影響するからです。大きく分けて小指にはめる人と中指もしくは薬指にはめる人に分かれるのではないでしょうか。人差し指にはめている人を見たことがありませんが、いるかも知れません。

いずれにしても弾く曲、自分の演奏スタイルなどで使い勝手が違ってきます。

中指、もしくは薬指にはめる

両側の指でバーを挟んでしっかりさせることができるので比較的やりやすいと思います。この「バーをしっかり固定する」というのがスライド演奏の大事なポイントでもあります。

しかし、中心の指をバーで拘束されているので、限られたフォームでしかコードが押さえられません。ですから、演奏ではよく考えてやるか、ソロのときだけバーをはめるか、あるいはデュアン・オールマンのように終始スライドでプレイをするかです。

中指にはめるジェフ・ベックの場合は、昔から、服のポケットから出すとかアンプの上に置いたバーを取りに行くなどをして、使うときだけ指にはめるというやり方をしていました。使い終わるとそのまま床に落とします(笑) ですのでアンプの上やステージに置かれたテーブル(ここにはベビーパウダーのボトルも置いてある)などに複数のバーが用意されています。

小指にはめる

理屈で考えると一番合理的かも知れません。小指以外の指でコードが押さえられるからです。小指は力が入りにくいのと、片方の指でしかバーを固定できないので最初は取り回しがしにくいですが慣れですね。ライ・クーダーのようにスライドをやったりコードを弾いたりという細かいプレイをするにはこの方が向いているかも知れません。

内田勘太郎さんも小指にはめていました。

短いバー

スチールバーなどでは短いタイプもあります。これなどは、どの指にはめても指を曲げられるのでバーをはめたまま、普通のフレーズを弾いたりコードを押さえたりできます。しかし、肉厚が薄く、短いので軽い分、音に締まりがなかったり、意外と弾きにくかったり(慣れもあるでしょうが)します。そのためか、使っている人をあまり見かけたことがありません。

しかし、売られているということは、ニーズもあるのでしょう。

3.右手の問題

左手は決まった。それでは右手はどう弾くか。デュアンオールマンやデレクトラックスの様にベーシストの要領で上から被せて指で弾くか。ピックで弾くか、両方か。
指で引く場合の利点は、ミュートがしやすいことです。スライド奏法では、ミュートが重要なポイントになるので、指で弾くととても簡単です。また、音のトーンを比較的均一にしやすいこともあります。反面、インパクトのある、エッジの利いた音が出にくくなります。また、複数弦でコード的に弾きたい場合も指の爪の甲を使ったりとちょっとテクニックが必要です。
フラットピックを使う場合は、ミュートを手の腹というか、ピックを持つ親指の腹で押さえる感じの人が多いのではないでしょうか。
両方のメリットを兼ね備えたのが、サムピックで弾くやり方ですが、サムピックを使うこと自体にちょっと慣れが必要です。カントリー系の人は、当たり前のようにサムピックを使います。これって、考えて見るとスチールギターに近い感じですね。

目指すスライドサウンドはなにが良いのか、どうやればカッコ良いのか、いろいろ試してLet’ Slide!!

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