ギタリストとしてのエリッククラプトンの魅力。

ミュージシャン
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今や若い世代には「歌手」として認識されているらしいエリッククラプトン。我々の世代にとってはもちろん「3大ギタリスト」なのです。しかし、個人的には、クラプトンのすべての時代が好きなわけではなく、クリームまでと、オーシャンブールバードの頃が好きです。

クラプトン好きにも、友人達にも、ブラインドフェイス〜レイラの頃が大好きな人は多いのですが、個人的には、その時代は好きではないのです。理由は完全に好みです(笑)それではなぜオーシャン〜の頃が好きなのかと言われそうですが、ちょっと違ったでしょう?(クラプトンをずっと追いかけているわけではないので、違っていたらすみません)

それは後でご紹介するとして、ギタリストクラプトンと言えばやはり「ジョンメイオール&ブルースブレイカーズ」〜クリームでしょうね。
この頃のクラプトンは、ポップになっていくヤードバーズに嫌気がさしてやめ(後釜がジェフベック)、ジョンメイオールとともに好きなブルースを追求し始めた頃で生き生きしています。まだ23歳くらいですが、ギターはすでに技術が確立しています。ジェフベックにしても、ジャコパストリアスやアルディメオラにしても、後にレジェンドになるような人はこのくらいの年齢でもう完成されていますね。

細かいことを言えばこの頃のビブラートのかけ方は今と違っていて、クリームの映像を見ると手首を返すような感じです(今の方が下手っぽい 笑)。クラプトンのブルースは黒人のそれに対して「白人ブルース」とある意味揶揄が混じった呼ばれ方をしていましたが、当時の私には、黒人のおっちゃん(3キングとか)よりクラプトンのブルースの方が洗練されていて刺さりましたね。後に黒人の凄さが分かるようになりましたが、とにかく、クラプトンのギターは、カッコよかった。

マーシャルとレスポールの組み合わせと言われた歪んだギター。黒人よりは流麗に流れるフレーズとビブラート、黒人より突っかかりが少ないタイム感。そしてアレンジ。特に有名な「クロスロード」は、原曲を聞くと「なんじゃこれ?」って感じですが、クラプトンの手にかかるとカッコ良いブルース(8ビートとですが)になります。

ちなみに、クリームへの参加についてクラプトンは当時「ロックロールギタリストとして参加した」と言っていました。ブルースとは言っていないんですね。そのあたりにもクリームというバンドのコンセプトが見え隠れしているかも知れません。

この頃のロックバンドはとにかくギターが花形で、「クリーム ライブボリューム2」の裏面の「ハイダウエイ」(権利関係だと思いますが、正しくはステッピンアウト)ではソロが延々十数分も続きますが、それがことごとく洗練されていてカッコ良いです。これをコピーしたくて、まずは憶えないといけないとフレーズが口で言えるまでに暗記していました。勉強をそのくらいやればもっと違う人生だったかも知れません(笑)クリームは、いわゆるリフもカッコよくてロックの典型のような方法論を確立していました。この頃のクラプトンのギターは、まさにロックギターの基本みたいな感じでした。

その後ブラインドフェイス、デレク&ドミノスなどで、歌や楽曲全体を意識するようになります。少し後にレイドバックという言葉が流行しましたが、ギンギンのロックではなく、アメリカ西海岸的な落ち着いた明るいムードと土臭さがロックの世界に入ってきます。逆に言えば、ロックミュージシャンが少し疲れてそういう世界に憧れていったのだと思います。

疲れた結果のヘロイン中毒、そして復活し、クラプトンもどんどんその世界に入っていて、ギターも落ち着いたムードになっていった、歌と楽曲とカッコイイギターのバランスが一番良い時代が、「461 Ocean Boulevard 」の頃ではないでしょうか。
象徴的なのは、ボブマーリーの「I Shot The Sheriff」がクラプトンのレパートリーとしてヒットしたことです。この曲によって「レゲェ」というジャンルが世に知られるようになりました。厳密に言えばクラプトンの「I Shot The Sheriff」はあまりレゲェにはなっていません(ポップさを狙ってリズムを簡単にしたのかも)が、大ヒットしクラプトンのセカンドステージの幕開けになりました。


個人的には、このアルバムと次の「There’s One in Every Crowd」が一番好きです。特に「There’s One in Every Crowd」は、クラプトンが行き着いたひとつの世界が完結されているのではないかと思います。レイドバックした楽曲やアレンジでゆったり歌い弾くクラプトンの心地よさが伝わってきます。かと思えば、「singI’n The Blues」では、ファンキーなリズムに乗せて抜群のクラプトンのブルースギターが聴けます。

その後のクラプトンは、どんどん歌を歌うようになっていき、それと共にギターを余り弾かなくなっていきました。「ギターの神様としてのクラプトンは終わった」と思ったギターファンも多いのではないかと思います。私もその1人です(笑)しかし、「Reptile」を聞くと考えを新たにします。この頃来日公演でもフルアコを弾いていましたが、こういう曲、ジャズ系のギタリストなら、スケールを使ったジャズ的なアプローチで弾くのでしょうが、クラプトンはあくまでペンタトニックで、ある意味ブルース的に弾いています。しかし、時のある歌心のあるギターでやっぱり上手いなあと。「歌ばかり歌っていて、ギターは精彩を欠いている」と思っていた私もうれしくなりました。

近年は、ジェフベックも出演していた「クロスロードフェスティバル」などの開催にも力を入れています。ジェフベックのロニースコッツや埼玉アリーナでの共演が懐かしい。ジェフベックの自伝的映画の中でもしばしばクラプトンのコメント場面が出てきます。

ちなみに、ヤードバーズ時代にクラプトンの凄さの片鱗が聴けるのが「Got Too Hurry」(確かアルバムではなくてシングル盤「For Your Love」のB面)という曲です。すでにクラプトン節が聴けるかっこいい演奏で、Charさんもこれを聞いてクラプトンに興味を持った的なことを話していました。


ブルースを弾くクラプトンと言えばまずこれ。ヤードバーズに嫌気がさしてやめ、ブルースを追求してい生き生きと演奏する弱冠23歳のクラプトンのギターはすでに完成の域にあり冴え渡っている。ギブソン・レスポールをマーシャルで歪ましたこの音が以後のロックギターの音の原点をも言われる革命的ギターサウンド。

クリームの長時間に渡るギターソロの典型とも言える「ハイダウエイ」(実はステッピンアウト)で十数分にもわたり洗練されたクラプトンのギターソロが堪能できる。

有名な「クロスロード」が聴ける「クリームを聴くならこれを聴け」の1枚。クリームの勢いを集積させたような集大成アルバム。

クラプトンが本格的に復活したアルバム。「I Shot The Sheriff」が大ヒット。レイドバックした明るい西海岸的サウンドの中で、クラプトンの歌とギターがいい感じで歌う。アルバムジャケットもカラッと明るくサウンドを表現しているような空気感で好きです。

前作からさらに渋く濃くなった感じの味わい深いアルバム。クラプトンが感じている(んじゃないかと思う)心地よさが伝わってくるような空気感。バックのメンバーの演奏も渋くて味があり、何度聞いても違う味わいが感じられる優れたアルバム(だと個人的には思う)。

歌手クラプトンになってしまってがっかりしていたら、やっぱりクラプトンはギターが上手いなぁと見直した(笑)1枚。タイトル曲「レプタイル」のギターは、凝ったことはしていないが洗練されていて心地よい。

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