〜マルチエフェクターの中の70年代を発掘〜
フェイズシフターというエフェクターはもともとレスリースピーカー的な音の揺れを表現するために生まれたエフェクターだと思います。音の位相(Phase)を逆にした音を混ぜることでうねりをだそうという原理で、当時(70年代)には流行りました。70年代終盤から始まったフュージョンブームの時には、MXRのPhase100という強烈なねじり具合のフェイズシフターもでてきて、これはそれまでのフェズシフターとはまた違うキャラクターを持っており、ある種のパーカッション的な効果としてよく使われました。またローズピアノにフェイズシフターを通した音も流行りました。
独特のアナログテイストが新鮮。
その後、1975年にローランドからJCシリーズのアンプが発売されてからコーラスアンサンブルやフランジャーなど、ギタリストにはより輪郭がクリアでモダンな空間を感じさせるようなエフェクターが人気を博し、音が少し甘くなるフェイズシフターはあまり使われなくなりました。
そんなフェイズシフターですが、近年、その独特のキャラクターとどこかアナログな音の温もりがあって静かな人気があると言えるのではないでしょうか。エレキギターだけでなく、アコースティックギターにフェイズシフターを使ったカッコイイ演奏も聞かれます。フランジャーとは違うしユニバイブとも違う。独特の甘い捻れ感が逆に新鮮な気がします。またコーラスとは効果が違うのでコーラス音にさらにフェイズをかけるのもアリだと思います。
ZOOMでいえばMS-50Gの中に「Phaser」というシンプルな名前のエフェクトがあり、これだけで多彩な音がつくれます。Phase100のクローンって感じだと思います。
サンプル
Sample-1:普通の感じ
よくあるパターンの音です。ピッキング(カッティング)の擦り音を上手くシュワシュワ効果に載せると効果的かも知れません。
Sample-2:分散和音の場合
コーラスとはまた違った浮遊感に味わいがあります。使用ギターはアダマス2です。
Sample-3:ねじれの強いタイプ
バッキングだけでなくアルディメオラはソロでもこの効果をうまく使っていました。下にYoutubeあり。
Sample-4:アコギの場合
アコギだけで演奏の場合は、フェイズをかけない音も混ぜたほうが音がしっかりするかも知れません。
Sample-5:レイトを早くした場合、こんな感じにも
これそもそもフェイズシフターはこういうレスリーの効果を狙って作られたものではないかという気がします。サンタナもコンサートで使っていたことあるんじゃないかと思いますが不明。
2:30頃から秀逸なねじれ現象(笑)
アコギにフェイザー。
このライブの時はフェイザーじゃないかな〜