メトロノームのすすめ。

弾き方
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 プロの演奏とアマチュアの演奏の一番大きな差は、リズムではないかと思います。アマチュアのいわゆる「素人臭さ」は、多くの場合リズムが悪いために起きているような気がします。リズムが乱れるほかに、ツッコミ気味になってしまうこともあります。人間はどうしても、一生懸命弾こうとするほどにツッコミ気味になりがちです。これは有名なプロもそう言っています。練習不足で「ちゃんと弾こう」とすると、勢い余ってツッコミ気味になったという経験がないでしょうか。私はあります(笑)

アマチュアギタリストのリズム問題。

 弾けているんだけどなんだか違う、そう感じるときは大概リズムが悪いのだと思います。プロでもない私が言うのはおこがましいことではありますが、周りを見ている(聞いている)と、アマチュアの人は基礎練習をしない人が多いのではないかという気がします。日々演奏する機会のあるプロと違ってアマチュアではなかなか楽器を触るということ自体できませんので、技術が落ちてしまうのと共に、楽器を触るときには、実際のことをしたいという欲求もあり、基礎練習を地道にやるということができにくいのではないかと思います。

 基礎練習やってるよという人の中でもメトロノームで練習するという人はさらに少ないのではないのでしょうか。スケールなどの練習はやるけど、メトロノームは使わないとか、そういう感じではないのかなと思います。
しかし、体験上メトロノームによる練習は確実に効果があります。

 もっとも、これはもともとリズムが良い人は関係ない話ですね。できているのにトレーニングする必要はないと思います。ただ、「できてる」と思っているけどできていない人は多いのではないのかなと思ったりします。私もそうでした(笑)

リズム問題のポイントは2つ。

 ひとくちに「リズムが悪い」と言っても、内容的には2つのポイントがあると思います。ひとつは「テンポが悪い」、つまり定率、あるいは一貫したノリがないということ。もうひとつは、これ意外に意識されないことが多いかもしれませんが「音符の長さをちゃんと意識しない」ということです。昔、プロの方に言われたことがあるのが「アマチュアの人は音符の長さをちゃんと弾かない」ということです。4分音符、8分音符、16部音符・・・それぞれに長さがあります。ちゃんと弾くためには、切るところ伸ばすところをちゃんと弾かなければいけません。そこが曖昧になるというわけですね。この音符の長さをちゃんと弾かないと、結局テンポも悪くなるわけです。せっかく練習するのに、その成果がちゃんと出ないのは時間的コスパが悪いです。

そこでメトロノーム。

 この2つのポイントは、メトロノームで練習すれば改善できるのではないでしょうか。

 メトロノームを使わずに30分練習するより、使って15分練習するほうが上達が早い気がします。スケールにしてもコードワークにしてもインテンポ(テンポに合わせて)できないと意味がありません。亡くなられた成毛滋さんも、速く弾くよりインテンポで弾くことが大切だと言っていました。スクールに習いに行っている人なら、講師から必ずメトロノームを使うように言われているのではないでしょうか。

 メトロノームを使うのは、勉強みたいで嫌だというイメージをもってる人も多いのではないかと思いますが、それはそもそもメトロノームの使い方が間違っているからではないかと思います(練習法は後述)。リズムが良くなると、いわゆる「素人臭さ」がなくなりますし、第一、自分が気持ち良くなるので分かります。

リズムが良いと弾けてなくてもカッコいい。

 「フレーズがちゃんと弾けていてリズムが悪い」より「ちゃんと弾けていないけどリズムが良い」方がカッコいいんです。それが証拠に、実はジェフ・ベックという人は、よく聞くと結構弾き損じがある人なのですがそうは聞こえません。海賊盤でBlow By Blowの各トラックが別々に聞ける音源がありますが、それを聴くと面白いことに結構弾き損じがあるのです。しかし、全体で聴くとそんな感じはしませんよね。ジョージ・マーティンの仕上げの技もあると思いますが、リズムが良いから弾き損じが目立たないのだと思います。
 ただ、ジェフ・ベックのような人は、メトロノームなんかで練習しなくても元々リズムよく弾ける才能があったはずです。だからこそレジェンドなのです。そういう天才的な人は別にして、普通の人はメトロノームで鍛えるしかありません。

メトロノームでの練習はセッション感覚。「メトロノームに合わせて」弾くのではなく、「メトロノームと同じノリで」。

 メトロノームの練習で大事なのがマインドです。「メトロノームに合わせて」弾くのではなく、「メトロノームと同じノリで」弾くことです。時計のように正確なテンポを刻むことが目的ではなく、一貫したノリを会得するのが目的です。時計のようにせっかくなテンポが良いのであれば、打ち込みでやって方が早いです。重要なのは、一貫してノリがあることですね。

 で、メトロノームをどう使うかですが、メトロノームに「合わせて」弾いていてもずれていってしまうものですし、そこを無理やり合わせても身につきません。「合わせる」のではなく、メトロノームに「ノリ」を感じて「同じノリ」で弾くという感じでやると不思議なことに合ってくるのです。

 ノリが同じになると、メトロノームの音が聞こえなくなりますのでよく分かります。この練習法が良いのは、「メトロノームと同じノリで」でやっていると練習が楽しくなることです。ノリがあってきたときに音が消えるので「あ、消えた」とうれしくなりますし、メトロノームにグルーブが感じられるようになります。

 この練習をやっていると、だんだんメトロノームとセッションしている感覚になってきます。要するにドラマー代わりですね。そうなるとしめたもの、メトロノームでの練習が楽しくなります。練習がセッションになるわけですから。つまり、リズム感が身につくだけでなくバンドで合わせる演奏も上達するということですね。良いこと尽くしです。

実は揺らいでいる世界の名演。

 トップアーチストの実際の演奏というのは、決して正確なリズムではありません。Youtubeでそれを検証している人もいますが、私も以前ジェフ・ベックの演奏をLogicに取り込んでクオンタイズしようとしたら、驚くほどテンポが揺らいでいることを知りました。そのゆらぎが、カッコよさにもなっているということではないでしょうか。

 重要なのは「正確にリズムを刻む」ことではなくて「ノリのあるリズムを刻むこと」だということです。結果的に揺らぐとしても基本のリズムを体に染み込ませるために、まずはメトロノームの定率感をガイドにするということですね。

メトローノームの選び方。

今は、メトロノームにも3つの種類があります。

昔からある振り子式のメトロノーム。



 音と目でテンポが分かるので、一番良いと思います。ドラマーが叩くのを見ているのと同じ効果があります。よく分かるので、ギターでニュアンスを付けたりしながらもテンポがキープできるので、最も練習しやすいのではないでしょうか。

 ただ、本体も大きいし音も大きいので、家族や隣の部屋にうるさがられるかもしれません。逆に言えば、少々アンプで大きな音を鳴らしても負けないわけです。環境が許せばこれがおすすめです。

電子式

 コンパクトで持ち運べて、画面の中で振り子が動いたり、点滅したりしてテンポが分かります。さらに、アクセントを付けたり、3連符にしたりという設定ができるので、多彩な練習ができます。もちろん音量もコントロールできます。チューニングの機能があるのも便利です。イヤホンでも聞けるのでドラマーに便利です。振り子式の次におすすめですし、そんなに高価でもないので両方をうまく使い分ければ良いと思います。

アプリ

 スマホ用のアプリとしてもたくさんのメトロノームアプリが提供されています。無料のものもあり手軽にメトロノームでの練習が始めることができます。テンポやパターンをいくつか登録できるような機能を持ったアプリもあるので、練習のルーティーンがやりやすくなりますね。



メトロノームで1ヶ月やってみて、自身が弾く演奏を録音して聴き比べてみてください。驚きがあると同時に、今までと違う風景が見えていると思います。Let’s メトロノームセッション!

アマゾンでメトロノームを探す。

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