ギタリストの個性を決めるピックとピッキングを考察する。

弾き方
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ギタリストの個性は手元で決まる

ロックとかフォークとかジャズとかのギターでは、ピックで弾くか指で弾くかという選択があります。弦楽器において、ピックやピッキングは、ある意味エフェクターよりもアンプよりも重要な問題です。ここで音が決まるからです。エレキギターのタッチというのは、ほぼここで決まると思います。魅力的なギターを弾くギタリストほど、このタッチを気にしているのではないでしょうか。

だからピックやピッキングを決めるのは、なかばギタリストの個性を決めると言っても過言ではありません。タッチと選ぶノート、エフェクターやアンプはその後ではないかと思います。優れたギタリストは、ギターやアンプが変わっても個性が失われません。

有名なジャズギタリストがジョージベンソンの話をしていました。とある街の小さなライブバーにコンサートを終えたジョージベンソンが来たそうです。で、そこにあった安いギターとアンプで弾き始めたそうですが、紛れもないジョージベンソンの音がしていたそうです。憧れのギタリストの音を本気で出したいなら、機材よりもタッチを研究すべきだと思います。

ジャンルによるピッキングの違い

ロックでは一般的にはフラットピックで弾きますが、マークノップラーやジェフベックのように指だけで弾く人もいます。ジェフベックも昔はピックも使っていました。デレクトラックスのようにスライドをやる人は指で弾く人も多いですね。
サムピックは、ロックと言うよりフォークやカントリー系のギタリストに多いです。ナッシュビルの凄腕ギタリストは、カントリーのめまぐるしいリックをサムピックと指で涼しい顔をして弾きます。アコースティックギターでもサムピックは使われます。ブルースの世界もサムピックを使い人が結構いますね。なぜでしょうかね。

ジャズでは、ピックで弾くほかに、指でつま弾くように弾く人(ジョーパスなど)や親指でなでるように弾く人(ウエスモンゴメリー)もいます。ジャズでは、より優しく温かみのある音色が求められるのでこういう弾き方になってくるんでしょう。

ところで、ピックの形状には、おにぎり型とティアドロップ型があり、ロック系の人は前者、ジャズ・フュージョン系の人は後者という傾向があります。なぜなんでしょうね?

フラットピッキング

ピックの持ち方。

フラットピックの持ち方やギターとの手の位置、ピッキングフォームなどは、世界のアーチストを見ていると人それぞれです。

昔からピッキングには正しいとされるスタイルがあります。

・ピックを親指と人差し指で軽く挟み(他の指は添えず)
・ギターに触れず(指も置かず)
・ピックは弦に平行に当て
・手首のスナップを使って弦と垂直に動かす

などですが、このとおりではないレジェンドはたくさんいます。

渡辺香津美やスティーブモーズは指をギターにおいて支える感じで弾いていますし、マーティーフリードマンは手首を曲げて下からアプローチするような、とても弾きにくそうな(笑)独特のフォームで弾いていますがめちゃめちゃ上手いです(^^) サンタナも確か3本で持っていたんじゃないでしょうか。

要はその人にとって弾きやすいフォームで良いということだと思いますが、好きなようにやってみて行き詰まったら正しいフォームやいろいろなフォームを試してみたら良いのではないでしょうか。イチローが振り子打法を変えたように(^^)

そういうときは、YouTubeでいろいろなレジェンドがどうやっているかを観察するのが良いと思います。お手本を簡単に見れる便利な時代ですね~。またフレーズによっては、ピックを弦に当てる角度を微妙に変えると弾きやすくなったりします。

ピッキングの力の入れ方について

ピッキングは軽くするのがよいと思います。他の記事でも書いていますが、アンプに繋がずに練習しているとついついピッキングが強くなる傾向があります。だからできるだけアンプに繋いで音を出して練習する方がよいです。また、フォークギターから始めた人は、エレキより弦が太いのでしっかり弾かないと音が出にくく、ストロークが強くなりやすいかも知れません。しかし、エレキの細い弦を強く弾くと音が濁りやすかったりバランスが悪くなったりします。
軽く弾く方が強弱が出しやすい、速いフレーズを弾きやすい、和音のバランスの良い発音ができるなど利点がたくさんあります。

ジェフベックなども、トラックごとの生音が聞こえるブートレグなどを聴くと、驚くほどピッキングが軽いです。なでるように弾いています。ここぞというところで力を入れるという感じですね。

ピッキング

フラットピッキングは比較的簡単です。それはテンポに合わせた一定のストロークの中で音を拾っていくように弾けば良いからです。そうすればリズムの乱れが起こりにくいわけです。逆にそうしないとリズムが乱れがちになります。かつて成毛滋さんが「空ピック」(休符の所もピックを弦に当てる)の重要性を説いていましたが、とにかくノリを失わないように練習するのが大事だということです。

この弾き方で注意しなければならないのは、ストロークを重視しすぎて、音を拾うのが雑になり、必要な音を弾くときも他の弦を一緒に弾いてしまって弦の擦り音のノイズが多くなる場合です。あくまでストロークは腕の中でビートを刻んでいる感じでやるのが良いと思います。

フィンガリングについて

フィンガリングの概要

クラシックのギタリストは指というか爪で弾きますが、ロックやジャズでフィンガリングをするときは指の肌で弾きます。

ロックとジャズでもかなりニュアンスが違ってくると思いますが、ジャズの場合はアタックの弱いソフトなトーンで弾き、ロックやブルース、カントリー系では弾くようなアタックの効いた弾き方をします。元々のギターのトーンも違います。ジャズのウェスモンゴメリーなどは親指でのダウンストローク中心です。
ロックでフィンガリングをするのは、ジェフベックやマークノップラーのような特殊な人達で、ほとんどがフラットピックだと思います。ほとんどの人が、バリエーションのひとつとしてときどきやるという感じではないでしょうか。

ただ、80年代前半までのジェフベックやジミーペイジのように、フラットピックとフィンガリングを混ぜた奏法を取り入れている人は多いと思います。

スティーブハウは、アコースティックでラグタイムを弾くときもフラットピック&フィンガリングのスタイルです。こういった奏法はカントリーやロカビリーの人に多いので、彼らもそれらを源泉にしているのだと思います。

フィンガリングのポイント

フィンガリングは、リズムのキープがとても難しいです。フラットピック奏法が定律で腕がビートしますが、フィンガリングは腕は動かず、その先の指がバラバラに動きます。この指達のリズムを統括制御するものがないからです。特に定律で繰り返しのフレーズなどはとても難しいものです。

特に親指以外の指の動きを思い通りにするのが大変です。しかし、それらができるようになるとフラットピックでの演奏にも応用できるのでとても幅が広がります。

フィンガリングの練習法

ギターをフォークから始めた人はアルペジオや3フィンガーが身についていることが多いですが、ロックやブルースから弾き始めた人は、アルペジオができない傾向が強いと思います。まずはアルペジオ、そして3フィンガーなどを練習して、指がバラバラに定律で動くことを身につけて、その後に親指以外の動きの練習などをやる方が良いと思います。

サムピック

フィンガリングの親指のピッキングを強力にするために生まれたモノだと思いますが、フラットピックのようにも使えるので、使いこなせたらとても便利なモノだと思います。

ナッシュビルのブレントメイソンは、サムピックと’フィンガリングで、超高速のカントリー曲からカントリースイングその他、あらゆるジャンルの音楽を弾きます。ちなみに同じカントリー畑の天才と言われた故ダニーガットンはフラットピックとフィンガリングによるスタイルでした。人それぞれ弾きやすい奏法があるのですね。
サムピックは、買ってから自分の親指にフィットするように伸ばして使わないと指が痛くなります。熱湯を沸かし、サムピックつけると柔らかくなるので火傷しないように伸ばします。なお、金属製のサムピックはスチールギターやバンジョー用です。スチールギターでは、親指以外にもピックをはめて演奏しますが、それは普通のギターの奏法とはまったく別物です。

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