セッションにこそ、MS-50Gが便利なのだ。

マルチエフェクター
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〜セッションで活躍するZOOM MS-50Gの使い方〜

マルチエフェクターのZOOM MS-50Gが便利なのは、なんといってもこの筐体です。一般的なストンプボックスと同じ。だから、同じように他のエフェクターとつなげてセットできるわけです。それはトランプのジョーカー的な使い方としてめちゃめちゃ便利。しかし、もうひとつ、ジョーカーよりも便利な使い方がセッション用です。小さい中にいろいろなエフェクターが詰まっているので、小さい&軽い&多機能と、何があるか分からないセッションにはもってこいなのです。

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セッションに行くなら身軽で行きたい。

セッションでは、何を演奏するか分かりませんし、どんなアンプかも分からない場合が多いです。如何様にも対応できるようにエフェクターをいろいろ持っていきたいところですが荷物が大変です。また、セッションで入れ替わるときにそんな大層なセッティングをもっていくと場所も取るし、セッティング時にトラブルでも起こしたらとても迷惑です。そういうときに、MS-50Gの中に想定されるセッティングをいくつか組んで入れておくと大概対応できます。そして荷物はこれひとつだけです。電池で動くので、入替の時に電源を探す手間も不要です。足下もすっきり。
しかし、それだけではありません。マルチエフェクターである最大の利点である「何でもある」を使って「如何様なセッションにも対応できる」パッチを作っておくと、何も考えずにこれだけを持っていけばとりあえずこと足ります。そもそも、ジャムセッションで複雑なエフェクターを使うことは先ずありませんし、仕込み系のセッションなら、その曲に合わせたパッチを作っていけば、切替はスイッチひとつです。

セッションで、意外とこれを使っている人を見かけないのが不思議なくらいです。これならギターケースのポケットに入ってしまうので、荷物が増えませんし軽いので楽です。セッティングも簡単だし、トラブルも起こらないので快適です。なぜ使わないのかホントに不思議です。私はいつもこれしかもって行きません。ライブでもこれだけの時があります。

前段に音質調整系を入れると色んな環境に対応できる。

使い方で特におすすめしたいのが、前段にイコライザーやエキサイター、ブースターなどを入れておくことです。セッションの会場にはどんなアンプがあるか分かりません。その場で使うアンプに応じて若干トーンの出方を調節してやれば、好きな音に近づけられます。

MS-50Gの中には、アンプシュミレーターもたくさんあるのですいが、出力先がアンプだと現場での調整が難しいですし、JCなどでのパワーアンプ直のセッティングも結構面倒なことが多いです。それとMS-50Gのエフェクト数は最大6個なので、ヘッドとキャビネットで2個分使ってしまうと残り4個になってしまいます。とにかくセッションの現場では、セッティングに時間を掛けられないので、未知数の多いプランはやめておいた方がよいと思います。音の調整はエフェクターでやるのが手軽だと思います。

前段で基本的な音を調整すれば、後は、コンプや歪み系、空間系などを入れておけば、セッションでは大概間に合います。また別のセットに、アコースティックシュミレーターなどを入れておくと、アコギ系の曲にも対応できます。そういうセットがスイッチひとつでチャンジできるのでとても便利です。

地味だけど活躍する「Z Clean」

前段に入れたいエフェクトの中で特におすすめしたいのが「Z Clean」というやつです。説明書には「ズームオリジナルのクセのないクリーンサウンドです」と書いてあります。クリーンにするならエフェクターを着れば良いだけだし、最初は、なぜこんなものが必要なのかなと思っていたのですが、これはクリーンサウンドを整えるものだということを発見したのでした。コントロールはゲイン、トーン、レベルの3つなのですが、特にゲインとトーンを調節することによって、音の粒立ちが良くなります。つまりクリーンブースターのようなものだと思います。上手く調節すると真空管アンプの様な立ち上がりの音になります。そうやってしっかりさせたクリーン音に後段でエフェクトをかけることにより、良い効果が得られます。逆に考えれば、ジョーカー的な使い方として、MS-50Gクリーンブースター代わりに前段に入れるという風にもできるわけです。地味だけど、意外と良い仕事するやつです。
ただ、好みがあるのでこれやエキサイターなどいろいろ試してみるのがよいと思います。

おすすめなパッチプラン。

私が普段使っているような組み合わせをご紹介します。サンプル音源のエレキは、テレキャスターを2つともハンバッカーにしたテレギブ仕様のギターを使っています。

ロック、ブルース、フュージョン系

ひとつのパッチに最大5個までセットできるので、イコライザー+歪み+空間で3つ、あと2つ入ります。ディレイかオートワウなどのフィルター系。ここでは前段にグラフィックイコライザーとエキサイターを入れています。グライコが万能かと思いきや氏小さいグライコだとそれだけでは上手く行きません。エキサイターやブースターと組み合わせる方が好みの音に近づけられると思います。
歪み系のエフェクターは、本当に選びきれないくらいたくさんあるのでいろいろ試して見るのが良いと思います。アンプやギター、曲や環境などによって相性がありますしね。好みもあるし。歪み系ほど好みが分かれるエフェクター分野はないのではないでしょうか。いろいろ試せるのもマルチの良いところだと思います。

*サンプル音源
最初はグライコのみ、次にZ Cleanをプラス、次にSweet Orangのクローンをプラス、最後は、ディストーションをOFFしてビンテージコーラスをプラス。

アコースティック系

洋楽に限って言えば、西海岸などアメリカン系はアコースティックサウンドが入ってくることが多く、またエレキサウンドもカラッと明るめの爽やかな音が多いです。エレキでアコギのパートをやる時に便利なのがアコースティックシュミレーターです。といっても所詮は似せるだけだし、この音が嫌いだという方もいると思います。それでもムードは変わります。下のサンプル音源は変化を分かりやすくするためにシャリシャリになっていますが調節次第です。

*サンプル音源
最初はすべてOFF、次にグライコとアコースティックシュミレーターをプラス、次にさらにコンプとコーラスをプラス。

アコースティックギターにも

このエフェクターはアコギ用ではありませんがエレアコにも使えます。前項のアコースティックシュミレーターのセットがそのまま使えます。本来はエレキをアコギ的にシュミレートするモノですがエレアコのトーンの調節にも効果的です。エレアコには、ギター自体にプリアンプが付いていますが、それらは演奏中の調節用にして、基本的な音はマルチの中で整えた方がやりやすいと思います。その後はコンプや空間系、リバーブなどを入れると問題なく使えます。サンプルの音源では、オベーションのアダマス2を使って、リバーブの代わりにフェイザーを入れています。

*サンプル音源
最初はすべてOFF、次にグライコとアコースティックシュミレーターをプラス、次にさらにコンプとコーラスをプラス。さらにフェイザーをプラス。フェイザーをOFFしてリバーブをプラス。

ジャズ系

ジャズ系のセッションなら、イコライザー+ブースター+コンプ+リバーブで間に合うのではないでしょうか。ジャズのクリーントーンのはずなのにディストーションが入っていますが、フルアコ的な温かい音には、ゲインを絞ったディストーションで少し音を厚くしてあげるとムードが出ます。

*サンプル音源
グライコ+Z Clean+T Scream

その他

メタル系なら、歪みもたくさん入っていますので好きなものを選べます。

ちなみに、ディレイタイムを長くできるディレイもあるのでこれ1台でブライアンメイのブライトンロックもできます。図の例はステレオディレイなので、左右に出力することができ、2つのアンプでならせばまんまブライアンメイです。

*サンプル音源
T Scream+Stereo Deley

隠れた名脇役、「Line Selector」。

さらにMS-50Gには、スイッチャー(系統を切り替えるセレクター)が入っているので、それを活用するともっと高度なことも可能です。Selecterを切り替えることで、Selecter以降にセットしたエフェクトを一括でONOFFできるというものです。
図のセッティングでは、セレクタを切り替えることでオートワウとディストーションが一緒にONOFFできるわけです。クリーンなバッキングから、2つのエフェクターをぞれぞれ踏まなくても、セレクターだけ踏めば良いわけです。
現状ではLine Selectorの片側は直結しかないのですが、ZOOMさんにはぜひ2系統にエフェクターをセットできるLine Selectorと前段を2系統切り替えられるLine Selectorを作ってほしいです。それがあるとセッティングのバリエーションがもっと広がります。

*サンプル音源
図の通りセレクタで切替

不要なエフェクトを削除しておくと使いやすい。

MS-50Gは、パソコンでエフェクトの管理ができるので、必要なエフェクトだけにしておくと、セッティングしやすいです。MS-50G Effect ManagerというアプリがメーカーのWEBサイトからダウンロードできます。100個も必要ありませんしね。とはいえ、余計なものも入れてしまいますが(^^)。


マルチストンプは、小さいながらひとつもっておけば、ドラえもんのポケット!

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