ウッドストックは、生粋のロックの匂い。

カルチャー
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ロックの世界で伝説になっている「ウッドストック」。名前は有名ですが、内容を知っている人はどれだけいるでしょうか。1969年にアメリカで開催され、45万人を動員した大規模な野外コンサートで、以後の野外コンサートの先駆けになったイベントです。
映画にもなったおかげで日本の高校性の僕たちも追体験できたのでした。当時はロックの映像自体が少ない時代。それにとんでもない規模のコンサートで、興味津々で映画館に見にいきました。当時は知らないアーチストが多かったのですが、とにかく画面から香ってくる現場の匂いがワクワクしました。この映画には、その匂いがあるんです。単に音楽を楽しめるだけでなく、あのはちゃめちゃな現場に自分も居たような、そんな同時体験の感覚になります。

当時の映画のパンフレット

ウッドストックが生まれた時代。

映画は、用地交渉や開場前の騒動、演奏の間の観客や出演者のスナップなど、演奏以外にも当時の風俗や熱気が伝わってくる映像がふんだんにあります。1969年、70年の幕開けで、アメリカはベトナム戦争の泥沼に陥り憂鬱を抱えていた時代背景があります。
しかし、ロックは生まれたばかり。アメリカの自由な風土の中でアンダーグランドで渦巻いていた若者文化が、ロックやアートの刺激によってオモテへ出始めた頃です。

この数年前くらいに誕生したロックミュージックは、まさにいろいろなアイデアが具現化されて、いろいろな個性が芽を吹き始めた時代です。そういう勢いや若者の夢と現実のギャップややるせなさ、もどかしさ、やりようのないエネルギーなどが、このウッドストックで発散され映画に収められている気がします。

このあと、何度か、ウッドストック記念のコンサートが企画されましたが、イマイチ盛り上がらなかったと思います。この時代、このタイミング、この場所、このメンバーならではの奇跡なのではないでしょうか。

ウッドストックの再現。

サンタナの「Soul Sacrifice」は、ドラムのマイケルシュリーブがめちゃめちゃカッコ良い!

ウッドストックでは、サンタナの「Soul Sacrifice」が始まる前の泥滑りが名物シーンのひとつでした。雨が降ってぬかるみ、泥だらけになった観客達は、泥の丘を滑り台にして次々に滑り出します。その楽しそうなこと!
2004年UDOフェスティバルの大阪、岸和田の野外会場で、サンタナは2日目の最後に出てきましたが、その2つ前のドゥービーから降り始めた雨はジェフベックで本降りとなり、サンタナが出る頃には、雨はやんでいましたが、地面はズブズブの田んぼ状態で、そこで始まったサンタナのオープニングが、ウッドストックでやはり雨によって泥と化した丘を使って観客が泥滑りをやるシーンです。映画でもそれにかぶって「Soul Sacrifice」が始まりましたが、UDOフェスでもそのまま演奏へとつながり、偶然、まさにウッドストックが再現されたかのような流れになりました。このように何十年たっても演出に使われるというのは、ウッドストックが伝説であり、あのシーンが、やはり特別なシーンであるということではないでしょうか。

ジェフベックの思い。

ジェフベックグループは、当時ロッドがボーカルの第一期でしたが、バンド不和が始まった頃で、スライストーンを尊敬するジェフベックは「この状態でスライと同じステージには立てない」と2週間前に出演をキャンセルしてしまいました。本当なら、ロッドがボーカルの第一期ジェフベックグループもこの映画に収められていたはずです。誠に残念。そのスライのステージも見られます。幕間のステージ転換の時にいろいろなMCやイベントがされるのも面白く臨場感があります。

人はもちろんクルマから赤ちゃんまでサイケデリック。

主催者がものすごく誠実に想いを持って開催していることが分かります。そういう商業主義ではない純粋さもどこかホッとさせてくれる、大切なモノを思い出させてくれるようなところがあります。

ジミヘンのシーンがなぜか泣ける(笑)

CSN&Yのデビュー。

CSN&Yの実質デビューもウッドストックで、そういうMCで始まります。最後はジミヘンで、出演時間が押して押して、ジミヘンは4日目の朝方に出てきたか何かで、映画の画面では後片付けをするシーンにかぶって圧巻の演奏をします。そのシーンが観客のいない会場とベトナム戦争反対を叫んでも戦争が終わらないむなしさのようなムードも表現されているような独特の結末で、見終わるとお腹いっぱいになる映画です。映画としてもとてもよくできているのではないでしょうか。

ロック好きの方は一度見て欲しい映画です。商業主義だけではないロックの純粋な楽しさがあります。今発売されているディスクは、未発表の映像なども収められているようで、さらに楽しめますね。

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